耳ありドラえもんは黄だけじゃない!青や2色構成、2年間だけ存在した謎の色など。

ドラえもんには元々耳があって、その頃は黄色だったというのは有名な設定かと思います。
しかし耳付きドラえもんは最初から黄色の設定ではなかったのです。様々な設定変更の経緯を時系列に説明しながら、「ツートン時期」「2年間の謎色期」なども紹介します。

要点

まずは全容を先に図解します。

引用元:小学四年生 1975年4月号「ドラとバケルともうひとつ」、小学五年生 1976年1月号「ドラえもんの大ひみつ」、コロコロコミック 1978年7月号「ドラえもん百科」、1980/1/2 放送「ドラえもん びっくり全百科」、コロコロコミック 1980年2月号、2012/4/27 放送「ドラえもんの100年タイムカプセル」

耳と色の設定の変化の経緯

1969/12~ 耳について設定なしの時期。でも耳付きドラは第一話から登場

ドラえもん連載開始。この頃は元の姿の説明はない時期でした。ただ第一話から耳付きドラえもんは描かれていました。小学二年生 1970年1月号の話ではドラえもんを居候させるために、作り物の猫耳を装着して「猫を飼おう」と親を説得する形で1コマ登場します。猫のフリをする小道具であり、元は耳があったのか、最初からこういうロボなのかこの時点では分かりません。作り物の猫耳は耳穴もなく白一色。昔の姿というには情報不足な感じです。

1971年1~ 昔は耳があった可能性について描かれる

小学四年生 1971年2月号「好きでたまらニャい」で、再び作り物の耳をつけたドラえもんが登場。「ぼくはもともとネコ型ロボットだ」と発言し、自分を良く見せるため耳をつけようとする様が描写がされます。文脈からは「もとは耳の付いた猫らしい外見のロボだった」と読み取れますが断定はできません。「ぼくはネコ型ロボのはずなのに、なぜか耳が無いデザインで製造された」という解釈もできて、耳をつけようとしている行動は昔に戻ろうとしているのか、理想の姿を目指しているのかは不明です。白黒ページですが耳も体と同じ色表現で描かれているのでおそらく青でしょう。

1975/3~ 耳あり時代が初登場。体は青で耳は白のツートーン?

小学四年生 1975年4月号「ドラとバケルともうひとつ」内の「ドラえもんのおいたち」というページで、耳付き時代のドラえもんと、耳を失うコマが藤子・F・不二雄自身の手で描かれます。ここで初めてハッキリとした形で、昔は耳があった事と失った理由(ネズミにかじられる)が判明しました。白黒ページですが体は通常の青ドラえもんと同じ表現で描かれているので体は青のままと考えられます。しかしここで驚くのが、耳については着色がなく白色なのです。耳の外周部(本来色がある部分)も耳の内側も両方白で、登場する3コマ全部その表現で統一されています。
初登場の耳付きドラえもんは体は青、耳は白のツートーンだったのです。白黒ページなので本当に白色かは読み取れませんが体と別色である事は確かで、この回でしか登場しない最初で最後のツートーンドラです。この時のF先生の意図はなんだったのか?本当に耳を別色と想定していたかもしれませんし、塗り作業(手書きで縦線入れる作業)はアシスタントの仕事なので、初めて登場したドラ耳の塗り指定がわからずアシが塗らなかった。といった可能性もあります。前項では塗られてたのだし、また次項で説明する要素から考えると、塗ミスの類なのではという気がしていますが…真実は謎です。

1975/12~ 耳も体も全身青色となる。

小学五年生 1976年1月号の「ドラえもんの大ひみつ」で2色刷りカラーページで耳付き時代が描かれます。耳のある頃も今と同じ青色で描かれており、耳もしっかり青で塗られてます。ここで耳の色も青い全身青色になりました。
翌月、小学三年生 1976年2月号の「ドラえもん大事典」で描かれた白黒ページの耳付きドラえもんは耳も体と同じトーン表現で描かれたので全身青色が決定的になります。

1978/7~ 元は青ではなかった設定が登場(色不明)

コロコロコミック 1978年7月号 方倉陽二(藤子・F・不二雄の元アシスタント)による「ドラえもん百科」の「ドラえもんディスクジョッキー」の回で「青い猫などいないのでは」という質問に対し「(最初から青だったのではなく)耳を失ったショックで青ざめた」という回答する形で「青ざめた設定(=元々は別色だった)」が登場。この時点では元の色に関する言葉の説明なし、青ざめる前のドラえもんも描かれているがトーン表現は青いドラえもんと同じで、言葉の説明もないので色不明。少なくとも黄色には見えません。ドラえもんの色が元々は違うという設定が初めて登場した話ですが、ドラえもん百科自体はアシスタントだった方倉氏による作品なのでこの時点では公式扱いではありません。(F先生に任され描いており、内容のチェックは受けてるので準公式扱いで通称:方倉設定と呼ばれます。)

1980/1~ 元の色は黄色である事が決定

1980/1/2放送のアニメ「ドラえもん びっくり全百科(オール百科と呼ぶ)」にて、方倉陽二「ドラえもん百科」のいくつかのエピソードを元にアニメ化した内容でドラえもんが耳付きで生まれ耳を失い青ざめるまでが描かれます。ここで元々は黄色だった事がカラー映像として描かれます。この放送はドラえもん百科を中心にしているものの、「未来の国からはるばると」を初放送するなど、F先生公式設定と方倉設定の両方をひとまとめにドラえもんの秘密として放送しているので視聴者に全てを公式設定と認識させるような作りとなっており、これがデファクトスタンダードを築いていきます。

またこのアニメと同時に、コロコロコミック 1980年2月号(1980年1月発売)の表紙に藤子・F・不二雄本人の手による耳付きドラえもん(黄色)の1枚絵が初登場。ただF先生はコロコロ表紙用の絵を描く場合はマジックペンによる線画のみを描いて着色は出版工程で行われるためF先生が直接黄色を塗ったわけではありません。誰が黄色に決めたのか?というのは一応、「耳をネズミにかじられた、というのは僕が決めたこと。黄色だったのがその時青くなったというのはKくんの思い付き。」とF先生が発言しているので、方倉氏が決めたとなっています。しかし大百科のタイミングでは色不明で黄色らしからぬ色だったし、アニメ化のタイミングで色を決める必要性が出たのだとしたら、それを決めるのが片倉氏なのだろうか。と少し謎が残ります。ともあれF先生直筆の耳付きドラえもんに黄色く着色された事実をもって、黄色が公式設定化したと考えます。F先生が青設定をやめた。とも言えます。

1995/3 耳を失った理由、青くなった理由が変更

映画「2112年 ドラえもん誕生」にて、ドラえもんの誕生経緯を再設定。耳を失った理由は「工作用ネズミロボットにかじられたから」青くなった理由は「耳を失い、泣き続けて塗装が剥がれたから」に変更となりました。元が黄色である事はそのままです。

現在は黄で安定。地金が白のレアパターンあったりなおも進化中?

現在放送中のアニメ版ドラえもんや公式説明では「元は黄色で耳を失い青くなった」という部分は不動の設定となっています。「ドラえもんの100年タイムカプセル」では黄色に塗装される前の製造工程のシーンがあるのですが、そこでは全身白で描かれています。これは製造工程なので誕生した瞬間は黄色というべきなのでノーカウントとしていますが、今でもドラえもんの設定は進化を遂げていると言えるかもしれません。

耳を失う理由についてはF&方倉設定「ネズミにかじられて、青ざめた」と映画設定「ネズミ型ロボにかじられて、メッキがはげた」行ったり来たり混ざったりで固まりきっていない状態です。当記事は色に注目しますので、理由の方は別記事で詳細に説明しています。

謎の色は何色だったのか?もしかしたら茶色や灰色?

という事で紆余曲折を経て今に至るのですが、青ざめた設定ができてから元の色が黄色に決まるまでに色不明という期間がある事がわかったかと思います。この時点での色は何色だったのでしょうか。方倉先生は元々は青ではないという事だけ描き、元の色については説明なし、また白黒ページなので絵から色を読み取る事はできない状態です。普通に考えれば「最終的には黄色なんだからこの頃から黄色を想定していたんじゃないの?」となりそうですが、作中の描かれ方ではそうは見えないのです。

具体的には下記のようなやりとりがされています。

質問者「ドラえもんの体は、なぜ青いのですか?青いネコなどいないと思うのですが…」

ドラえもん「なにをかくそうこれはかの、有名な一大事件が原因なのだ……。その事件とは、あのいまわしい、ネズミのミミかじり事件…。…………。おそるおそる見たかがみの、おのれの姿に青ざめた……。」

引用元:方倉陽二「ドラえもん百科1」

つまり、青い猫は実在しないという質問者の疑問に、いやいや元は猫らしい色だったのだよという意味で回答しているわけです。そうなると黄色い猫というのも存在しないので会話が成立しないのです。また青ざめる前のトーン表現も青いドラえもんと同じで、黄色と見るには濃すぎるのです。では何色なのか?作中から読み取れる情報は下記になります。

色に関してわかっている事

・実在の猫としてあり得る色
・白黒表現だと、通常の青ドラえもんと同じトーン表現(縦線+アミ線)

実在の猫の色の候補
猫の色に詳しいサイトなどを調べると、猫の毛そのものは黒、茶、白しかないそうで、均等に生えて中間色(灰など)は存在しても上記の色で作れない色にはなりません。なおロシアンブルー等「青い猫」と呼ばれる種類もいますが、猫業界では「茶要素が無い事=青系」と呼ぶらしく実際は灰色です。なので中間色含めておおまかに白、茶、薄茶、灰、黒が候補になりそうです。

トーン表現について
ドラえもん百科の中では、青ざめる前も後もドラえもんも描写上の変化はなく同じトーン表現(縦線+アミ線)で描かれています。少なくとも真っ白、真っ黒ではなさそうで、白猫、黒猫は除外されます。黄色、薄茶は薄いのでトーン的には△としました。

これらを踏まえ猫に存在する色(と、ドラえもんの公式設定色)を並べて条件を満たすかをまとめたのが下記のリストになります。

ぴったり条件を満たすのは茶色か灰色になりました。もしドラえもん百科の設定を忠実に解釈しアニメに採用していたら、今頃は耳付きドラえもんは茶色か灰色になっていたかもしれないなんで想像もできます。

もう一つの現実的な解釈としては、薄茶(ベージュ、オレンジ系)でしょうか。猫の色の中では最も黄色に近いので、猫らしい薄茶、薄いオレンジ系をアニメ的なデフォルメ表現に置き換えたら鮮やかな黄色になり今のドラえもんの設定につながる。という解釈です。要は黄色い猫は猫らしい色の範疇に入ると言っているのと同義ですね。これなら最初から黄色だったと説明できます。

終わりに

謎の色についてここまで考察しておいて言うのも何ですが、ドラえもん百科はあくまでアシスタントである方倉陽二先生が描いたもので、読むとわかるのですがそのほとんどのページが非公式扱いになるような破天荒なものばかりです。猫らしい色の件もそこまで深く考えていないと思います。

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