うつつまくらの夢の構造と各解釈を図解。のび太は帰ってこれたのか?

ドラえもんの中でもホラー回として知られている「うつつまくら」。使うと夢が現実になってしまう道具ですが、この効果のせいでのび太は別世界に行ったきりなのではないか?という考察が良くされます。夢と現実と道具の効果が入り組んだ話でいくつかの解釈ができるので、それらを図解して考察したいと思います。

まずは図解3種。

まずは先に図解を紹介します。このあと詳細を説明してきます。

「うつつまくら」簡単なあらすじ

宿題もバッチリ、遅刻もしてない順調な新学期の朝。のび太にしては調子良すぎると疑問に思うと、なんと夢だった。本当は夏休み最終日で宿題も終わってない。夢の方が良かったと嘆くのび太にドラえもんは夢が本当になる道具「うつつまくら」を出す。早速のび太は枕で順調な夢の続きを本当の世界にする。しかし順調すぎるのび太を周りが変に疑う世界だったので不愉快になり枕で元の世界に戻す。でもやっぱり宿題が嫌になり、今度は枕でいっそ極端な「のび太が天才の世界」にする。満喫してたが天才すぎて敵国に誘拐されそうになり、そのドタバタで枕の上で意識を失う。起きるといつもの世界っぽいので元に戻れたのかと思ったが、ドラは「うつつまくらなんて道具は無い。それに夏休み前半だ」と言い、のび太は何が夢なのかわからなくなる。

うつつまくらの効果

作中では「これでねると、夢がほんとになるのか。」の説明があるのみです。道具の上で寝る事で世界が変わります。あと夢の内容を調整できるダイヤルがあります。
作中では図の世界④のように元の現実に戻ったように見えるシーンはありますが、「そういう夢を現実化した」だけで、元に戻った訳では無いようにも見えますし、様々あるパラレルワールドに移動しているのだと考えれば元に戻っているとも言えます。
また道具使用者のび太は寝る前の記憶を全て引き継いでますが、ドラえもんも前世界を記憶しています。(話の都合なのでしょうが、まあ特定の周辺者も範囲に含める効果があるのでしょう)

世界は全6個だけど、4つの世界線。

作中のび太が経験する世界は6個登場しますが、①③「A:順調な新学期」、②④「B:いつも通りの夏休み末」、⑤「C:天才の新学期」、⑥「D:いつも通りっぽい夏休み前半」といった感じで、世界線的には4つある感じです(図では縦に揃えています)。

解釈1:うつつまくらの効果でのび太は別世界に行ってしまった。

説の紹介に入ります。まずは道具の効果を最優先に解釈した場合の図です。

この場合、夢(世界①)から覚めた現実のび太(世界②)が、うつつまくらの作った世界に飛び込み、何度も世界を移動して最終的に元の世界線とは違う、「うつつまくらの存在しない夏休み前半(世界⑥)に移動してしまった」という解釈になります。似た世界とは言え、8月末→8月前半の別世界に移動してのび太はそのまま行ったきり。しかもうつつまくらは消滅してしまったので二度と帰る事ができません。一番のホラー解釈ですね。
ただ世界⑤でちゃんとうつつまくらを使って⑥に行ったはずなのにうつつまくらが消滅したりドラえもんの記憶が無くなっているのはなぜか?という疑問はあります。世界⑤でのび太が調整ダイヤルをいじったのはスパイに追いかけられながらのドタバタだったので設定を間違えてそのようにしてしまったとも考えられますが、少し疑問は残ります。

■肯定要素
・道具の効果を最優先に解釈するとこうなるから。
■疑問要素
・それまで付いてきたうつつまくらが消滅した理由は特に描かれていない。
・それまでは記憶を残してたドラえもんが記憶を無くしているのが謎。

解釈2:うつつまくらはのび太の夢だった。

解釈2は、最後の世界⑥だけが現実で、後は全てのび太の夢だったという解釈です。

図解的には解釈1を本当の夢が包み込むようなイメージなので理解の順序として2番目に紹介しましたが、こちらの方が一般的な解釈と思われます。うつつまくらを使った一連の経験も全て夢という考え方です。作中から読み取れる範囲での解釈では一番平和な考え方です。元々世界線Dにいるのび太が夢見てただけで、要は夢オチです。
うつつまくらが消滅してしまうのも全部夢なら道理が合うので話単体としては最も矛盾が無い解釈となります。
ただこの場合、うつつまくらという道具は元から無くのび太の脳内の産物という事になります。そのため道具大全集のような設定本でうつつまくらは「存在しないかもしれない道具」として説明される事もありますが、他のアニメエピソードではうつつまくらがチラッと登場する事もあるので、この解釈と矛盾する事になります。(まあ他エピソードのは小ネタとしての描写なのでここから真面目な考察する意味ないですが、一応。)

■肯定要素
・作中読み取れる範囲で平和な解釈。(世界が変わったわけではない)
・最終的な到着世界が「夏休み中盤」で、元の世界(夏休み末)に戻る事を望んだのび太と意図が合ってない=道具が機能していないと言える。
■疑問要素
・アニメ等でうつつまくらが別エピソードで出た事があるので、元々無いという解釈と矛盾する。

解釈3:実は元の世界に帰ったが、ドラえもんが嘘をついた。(まくらは隠された)

実は最後は元の世界線Bに帰っていたのだが、のび太を戒めるためにドラえもんがとぼけた。という解釈です。この解釈だとうつつまくらも実在し、のび太も元の世界に帰れたとなります。

それまでの道具効果からすると世界⑥にもうつつまくらとドラえもんの記憶は残っている方が自然で、だとすれば、本当はあるけどこれ以上のび太に使わせないようにドラえもんがまくらを隠して知らないフリをしたというのは行動原理的には納得できます。またのび太は世界⑤から元の世界に帰りたがってたでしょうから、のび太の希望通りにうつつまくらが発動したなら元の世界線Bに行くのも自然です。
ただ、だとするとドラが「今は夏休み前半」という無意味な嘘まで入れたのはなぜか?については理由が説明しにくいですね。のび太の希望通りに帰ってきたわけじゃないと印象付けるために、何もかも疑わせるような嘘をついた…とかでしょうか。
(世界⑥は本当に夏休み前半で、うつつまくらが無い点だけ嘘であるという別の解釈パターンもあります。ただそれだと(夏休み末→前半と)別世界に行ってしまってるのにドラがのび太を戒めるだけで根本解消には取り組まないというのも半端な対応になるので、本当は夏休み末に帰ってきてるけど嘘をついているという方がしっくり来るかなと思います。)

■肯定要素
・うつつまくらの実在が保たれ、のび太は現実に帰還できるので漫画的に平和な着地。
・世界⑤→世界⑥でもうつつまくらはついてきて、ドラにも記憶があるという道具効果の一貫性が保たれる。
■問題要素
・作中描写そのままを受け取らず「うつつまくらはあった」「ドラえもんにも記憶が残ってた」「実は夏休み末だった」などの仮定を置いてドラが嘘をついていたと言う拡大解釈を入れる必要がある。
・なぜ「夏休み前半」という嘘までつく必要があったのか?

まとめ

という事で代表的な解釈を説明しました。さらなる異説もあると思います。例えば最後も全部夢だったとかそういう異説解釈する事もできると思います。
結局答えの無い不思議な回ですが、皆さんの別解釈などもあれば教えてほしいです。

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