ドラえもん雲の王国がリメイクできない理由を大小8個紹介。洪水以外にキー坊、環境猶予、過去作と新作まで。

2024/03/07追記:「のび太の地球交響楽」が上映されましたが、中に「また雲の王国リメイクが遠ざかる」という描写がありました。それを理由8に追記しました。
—–
ドラえもんは定期的に旧作をリメイクしていますが、「のび太と雲の王国」はリメイクされていません。人気作ですがリメイクを考えた時この作品は障壁となる要素が特に多いです。リメイク困難な要素を7個挙げたいと思います。

リメイク困難な理由の一覧

大洪水のシーンがあるから

困難レベル:☆☆☆☆☆
話の後半に、大雨によって大洪水が発生し東京の街が全て流されてしまう描写があります。2011年の東日本大震災以降は津波を連想させる描写は避ける傾向にあります。しかもこの洪水はノア計画という作中の重要要素で、雲の住人だから攻撃方法が大雨という感じで作品設定に密接に繋がるため他の破壊(噴火とか)に簡単に置き換えるわけにもいきません。10年以上経過しましたが、そのままできる時期がいつになるかは読めない状況です。

短編「さらばキー坊」の制作が困難だから

困難レベル:☆☆☆☆
雲の王国は短編からのゲストキャラが多数登場します。(キー坊、モアとドードー、ドンジャラ村のホイ)リメイク前に事前に短編アニメとして放送しておく必要があります。「モアよドードーよ永遠に」と「さらばキー坊」はわさドラでアニメ化していません。「さらばキー坊」の短編アニメ化には慎重になっていると思われます。なぜなら物語が「植物星人が地球人の森林破壊に怒り全植物を奪おうとするが、キー坊の説得により地球人は100年の猶予を与えられ計画は中止される」という内容だからです。原作も大山版アニメも1984年の作品で約40年経過していますが、今これを再アニメ化すると「40年前に地球環境を良くすると約束したのに、未だに植物星人が侵略してくるくらい森林破壊は続いている」という事になり、また100年の猶予を与えるような展開を描いた場合、1984年の約束は何だったんだという事になってしまいます。
キー坊の短編アニメ化ができないと雲の王国も作れないため、ここから解決していく必要があります。

映画「のび太と緑の巨人伝」で同一テーマ扱い、キー坊登場させているから

困難レベル:☆☆☆
雲の王国のテーマは短編「さらばキー坊」と同じで、「人類の外の存在が環境破壊に怒り人類を滅ぼそうとする。しかし説得し猶予をもらう」という内容です。
そしてストレートに「さらばキー坊」を映画アップデートしたのが「緑の巨人伝(2008)」で、同じテーマを描いています。雲の王国と同一テーマを描いているのでネタ被り感は強いです。
またこの映画が雲の王国に与えるもう一つの問題は「緑の巨人伝版キー坊」の存在です。このキー坊は短編とは別の個性を付けられ違う人生を歩み始めた別キャラです。雲の王国リメイクでキー坊出した時「緑の巨人伝と短編、どっちのキー坊なの?」という混乱が発生しそうです。短編再アニメ化の際に短編キー坊にわかりやすい特徴をつけて混乱の無いようにする等の対応で乗り切れるとは思います。

映画「のび太と奇跡の島」でモア、絶滅保護地域ネタを使ってしまったから

困難レベル:☆
雲の王国のゲスト動物のモアは元は短編「モアよドードーよ永遠に」の登場キャラで、その時はドラえもんの道具で無人島に移住し絶滅回避したという話でした。そのモアがさらに天上人に保護されていたというのが映画とのリンク部分なのですが、モアのエピソードの一部は「奇跡の島 アニマルアドベンチャー」に使用されました。その際にモアは現代の無人島ではなく、未来の保護施設(ベレーガモンド島に連れて行かれたと設定されたので、雲の王国で天井人に保護されるストーリー展開との整合性は合わせられなくなっています。わさドラでは短編版「モアよドードーよ永遠に」はまだ放送していませんので、奇跡の島準拠では不整合が起きる状態です。
しかしモアはこれといった個性が無い動物なので、短編を普通に再作成して奇跡の島とは別個体のモアとすれば問題はないでしょう。これは大きな障害ではないと思います。
もう一つの問題は、映画奇跡の島は絶滅動物の保護施設という設定で、雲の王国の絶滅保護州のネタを拝借したと思われる要素があり、モア以外にもドードー鳥、グリプトドン、メガテリウムといった雲の王国と同じ絶滅動物が保護されたエリアが登場します。雲の王国リメイクした場合「前に見たことある」という感じになってしまいます。ただこれも動物を変えるなどすれば対応できるのでなんとかなる要素でしょう。

映画「のび太の宝島」で「ノアの方舟計画」が登場したから

困難レベル:☆
これは困難理由というよりリメイクを諦めているのではという状況証拠の意味合いになります。
雲の王国には「ノア計画」が登場しますが、のび太の宝島には似た名前の「ノアの方舟計画」が登場します。
どちらも旧約聖書のノアの方舟の話を元にしたものですが、ノア計画は大雨で文明を滅ぼす計画、ノアの方舟計画は宇宙船で新たな星へ移住を目指す計画です。両計画は全く別物なのでこれがリメイクの障害になるわけではないのですが、こんなモロかぶりの名称を使うあたり、再度ノア計画を登場(雲の王国をリメイク)させる事を製作側は当面考えていないのではと思えてしまいます。ノアの方舟計画は別の計画名にする事もできたはずです。雲の王国が近々リメイク候補に上がっていたならばこの名称にNGが出ていたと思います。

「のび太と空の理想郷」と舞台がかぶっているから

困難レベル:☆☆(ただし数年だけ)
2023年「のび太と空の理想郷」は内容は完全新作でしたが、空に浮かぶ未知の世界が舞台で、楽園かと思ったら実は秘密が…という内容です。雲の王国と舞台が似ています。ドラえもん映画は宇宙、海、太古といった舞台を繰り返し描いており舞台かぶりは別に珍しくないのですが、マンネリ化を避けるために連続では繰り返さずにある程度の間を空けてからやっています。今後数年は類似舞台はやらないと見た方が良いでしょう。
製作者も新作の舞台を空にしたら雲の王国がしばらくやりにくくなるのは百も承知だったはず。それでもやろうと決まった所を想像すると、雲の王国が近年のリメイク候補に入っていない事を意味するのかもしれません。

雲の王国本編も、「さらばキー坊」と同じ問題を抱えているから

困難レベル:☆☆
上記のキー坊の短編リメイク困難とほぼ同じ理由なのですが、雲の王国リメイクも「環境保護の猶予延期のようになってしまう」という問題を持っています。
人類の環境破壊に天上人が危機を感じていたが、最後の審判で「自然を守ろうとしてる人も増えつつある」という主張が認められノア計画は中止。のび太達と天上人は「水や空気がきれいになったら天上人は帰ってくる。その日が早く来るようがんばる」と約束を交わし話が終わります。
そして映画から約30年経過。安易にリメイクして再度ノア計画を議論し環境回復の約束で中止する話にしちゃうと人類は30年間ちっとも変わってない事になり、1992年版の約束が空虚なものになってしまいます。
ただ「緑の巨人伝(2008)」では1984年の短編で100年の猶予を与えられたキー坊の話を、24年経過時に再度問題提起してまた猶予もらう「気にせずやり直した」事例はあるので今回もそういう強引な方法でやるパターンは残されてます。

「地球交響楽」で雲の王国パロディが登場。

困難レベル:☆
2024年「のび太の地球交響楽」では壊れかけたドラえもんを触ろうとすると「エッチ!」と言うシーンがありました。これは雲の王国のシーンそのものですね。ちょっとした小ネタ、パロディと言う程度なのでリメイク困難の理由ではないのですが、もし来年に雲の王国をやるとかであればネタ被りになってしまうのでこんな描写は入れないでしょう。近々やらないからこそ入れられるネタに見えて、雲の王国が遠い存在である事を推し量る要素に感じました。

問題ない要素

上記ではリメイクの障壁を挙げていきましたが、一方で問題ない要素というのもあります。

興行面では問題無し。

世間では「リメイクされないのは人気がないから」のような考察意見もありますが、そんな事はありません。

雲の王国の動員数は340万人。F先生原作の映画17作中で6位と成功の部類です。すでにリメイクされている宇宙小戦争は240万人ですので、それを超えている雲の王国を興行的な理由で否定する要素はありません。

評価は賛否両論あるけどレビューサイトではかなり好評。

yahoo映画のF原作の映画ドラえもん17作の一般評価では下は3.4(ねじ巻き都市冒険記)、上は4.2(鉄人兵団など)の範囲で雲の王国はトップ4.2で、客観的に見てもリメイク可能な人気はあると見れます。
作品評価については賛否両論で、環境問題を追求したテーマ性や多彩なゲスト客演のオールスター感を評価する声もある一方、戦闘シーン等はほとんど無くクライマックスも議会での審判という地味な展開で説教臭く、いつもの冒険活劇と違う点をつまらないと評する意見もあります。
王道でないのでリメイク初期には選ばれにくいかもしれませんが、すでに多くのリメイクを経てますので問題ない時期に来ていると思います。

 




終わりに

総括すると、「リメイク化の実力はあるのに、様々なタイミングの不運で機会を失っている作品」という感じです。
 ・リメイク映画開始2006年から初期5年くらいは王道作品が優先されたため選ばれず
 ・2011年に東日本大震災が発生。洪水が描きにくくなりしばらく対象外に
 ・その間に別作品による部分的なネタの拝借や同類舞台などがあり「何かと被る」という要素が積み重なっていく。
という感じで、年が進むほどにやりにくくなっているなあという印象です。
しかしいつか、この辺りの問題をクリアして奇跡的にリメイクしてくれないかとも願ってます。

現在、Amazonプライムでドラえもん映画全作がプライム会員なら見放題配信中です。しかもHDリマスター版なのでDVDよりキレイで見れるので雲の王国も見れます。映画ドラえもん のび太と雲の王国をAmazonプライムで見る

マルチプレックス広告

コメント

  1. TK より:

    「雲の王国」は「日本誕生」と同じくらい好きだから
    リメイクされないかなってずっと待ってた!
    この記事を見てなるほど…って思った。。。

    リメイクで見たいよぉ
    というかドラえもんはリメイクで見たくないのあまりない

タイトルとURLをコピーしました