ドラえもんと世界的画家ゴッホの、とある共通点

国民的キャラクターであるドラえもんと、世界的画家であるゴッホ。一見無関係のこの2つですが、ある共通点を持っています。それは「耳と創作物」です。

ドラえもんとゴッホの耳に関する共通点

ドラえもんの耳がなくなった理由はいくつかの設定変更を経て複数の設定がありますが、その中の1つに1995年の映画「2112年ドラえもん誕生」で描かれた設定があります。

その内容は、「セワシが粘土でドラえもんを作ったが、耳がうまく作れなかったので工作用ネズミロボットに仕上げを頼んだ。しかし誤解が発生し本物のドラえもんの耳側を不出来な粘土に似せるよう行動し、かじられてしまった」というものです。

具体的には下記のようなやりとりです。

セワシ「ちょっと耳が違うかな。よーし仕上げは工作用のネズミロボットに頼むか。えーっと、このドラえもんの耳をもう少し似せたいんだけど。」

ネズミロボット「ドラえもんの耳をこれに似せる!」

セワシ「あー違う違う!粘土の方を似せるんだよ!」

引用元:映画「2112年 ドラえもん誕生」

こうしてドラえもんの耳がなくなったと言う設定です。この設定は藤子・F・不二雄先生が「混乱しているドラ情報、本作が決定版です」と発言しており、公式設定として認められている最終期の設定です。

この設定で連想する事があります。世界的に有名な画家ゴッホ(フィンセント・ファン・ゴッホ)のエピソードです。

ゴッホは自分の耳を自ら切り落としたという実際の事件があります。耳を切り落とした理由については諸説あるのですが、説の1つとして「ゴッホの自画像を見た友人ゴーギャンが『絵の耳がおかしい』と指摘し、それに怒ったゴッホが『だったらそんな耳なくしてやる』と自分の耳を切り落とした」という説、または「ゴーギャンがゴッホ像を描き、それを見たゴッホが、耳を変に描かれたと感じ本当の耳を自ら切り落とした」という説があります。これらの真偽は明らかではないものの、センセーショナルな内容であるため知名度が高い説でもあります。

ポール・ゴーギャン 「ひまわりを描くヴァン・ゴッホ」 (1888)
この耳がおかしいらしい。

ゴッホの件は絵に本人を似せるというより、単にディスられた部分をないものにしたというニュアンスですが、ドラえもんとゴッホのどちらのエピソードも「作品の耳の不出来が原因で本当の耳を無くす」という共通点があります。

フィンセント・ファン・ゴッホ 「耳に包帯をした自画像」 (1889)
切った耳の箇所に包帯を巻いています。

余談ですが、耳を切ったゴッホは入院中に自画像を描いたのですが、全体的に青系で描かれてます。青いゴッホです。

青ざめたわけではなりません。ですがドラえもんと同じく、耳を切った後に本人が青く描かれるというのは面白い偶然だと思います。

ドラえもんはゴッホの逸話を元にしたのか? → たぶん違う。

このように共通点のあるドラえもんとゴッホの耳ですが、ドラえもんの耳をなくす理由はゴッホが元ネタなのか。個人的にはおそらく違うと考えています。

ゴッホのエピソードは1995年時点でも十分有名なので、F先生もしくは映画スタッフが知っていたとしても不思議ではありませんが、藤子・F・不二雄先生がこのゴッホのエピソードを知っていたのか、これをドラえもんの元ネタにしたという確証情報はありません。

むしろF先生の定番ネタと言う感じがします。ドラえもんの道具には描いた絵そっくりに本物側が変わってしまう「そっくりクレヨン」というひみつ道具があります。また「現実側が創作に合わせる」というアイデアは「あらかじめ日記」「ソノウソホント」などドラえもんでは良く出てくるモチーフで、どちらかというとこれらのバリエーションとして設定されたと考た方が自然だと思います。

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