ドラえもんは未来の何年から来たのか、色々な設定を整理してみた。

ドラえもんの生年月日2112年9月3日は有名ですが、ドラは未来で何年過ごしたのか。のび太の元に出発した未来の時期がいつなのかは明確な日というのはありません。絞り込める情報は多々あるものの、設定変更で変わったり触れ幅があるのでやっかいです。まとめてみました。

結論

各種設定のキー要素でまとめると個人的な要点は下記になります。

2112年:ドラえもん誕生。
2115年:セワシの元にやってくる。
2122年:ネズミに耳をかじられ青くなる。
2124年度:のび太の元に出発
(2122年にすぐ出発した可能性もある)

「2112年誕生して約10年耳つき黄色で未来生活。2122年に耳失い約2年青ドラ状態で未来生活、2124年度に出発」となります。ただし設定にブレがあるのでそれらの詳細を説明します。

※それとは別に今は使われていない超初期設定の出発年(2081年)は明確ですので、そちらは下記にまとめてあります。

直接的に出発を描いている例はある。でも単行本で消えた。

まずは、直接的にドラえもんの出発シーンを描いている例です。

初登場時は2122年に出発と解釈できる

1975年4月号の小学四年生「ドラえもん大事典」は初めてドラえもん誕生から出発するまでを描いた話です。そこには

2112年9月3日:ドラえもん誕生
2115年1月:(赤ちゃんの)セワシの家に来る
2122年8月:ネズミに耳をかじられる
2122年12月:ノラミャー子にフラれる
(日時不明):のび太の元に出発。(耳消滅と失恋を忘れるためセワシがのび太の世話を任せる)

という流れが描かれます。この頃の設定では、のび太の救済(セワシ時代の回復)という目的以外にドラえもんの傷心旅行的な意味もあったという感じですね。
出発日は明示されませんが、フラれた悲しみも癒えぬ時期なので直近に出発したように見え、2122年12月出発の解釈が妥当に思えます。

これとほぼ同じ内容を短縮表現した漫画小学五年生1976年1月「ドラえもんの大ひみつ」(てんコミ未収録)も同じ解釈が可能です↓。

2112年9月3日:ドラえもん誕生
2122年8月:ネズミに耳をかじられる
(日時不明):ノラミャー子に笑われる
(日時不明):のび太の元に出発。(耳消滅と失恋を忘れるためセワシがのび太の世話を任せる)

ただ2122年出発とした場合、セワシ約8歳時点で出発させた事になり、第一話で同い年ののび太(10歳)と出会うシーンが成立しなくなります。2122年のコマのセワシはいつもの10歳風ですしそこも変です。
ここは単行本化↓で修正が入るので矛盾があった事に後で気づいたのかもしれません。

単行本化で描き直され設定見直し。出発描写は消滅。

上記の「ドラえもん大事典」が1976年7月てんコミ11巻収録時に大幅に加筆修正されます。

2112年9月3日:ドラえもん誕生
2115年1月19日:(赤ちゃんの)セワシの家に来る
2122年8月30日:ネズミに耳をかじられる
2122年9月2日:ノラミャー子に笑われる
(出発に関する描写は全て無くなる)

になります。2122年シーンにセワシが映らなくなるのと、出発に関するコマが全カットされました。2122年に10歳然とした見た目のセワシが描かれていたのがおかしいと判断されたのかもしれません、また8歳出発もおかしいと。
これにより、大半の人が触れる単行本では出発経緯、出発日は不明という状態に上書きされます。

なのでこのアプローチだと、2122年まではいた事はわかるがその後いつ出発したのかは最終設定からは読み取れないという状況になります。

セワシから間接的に絞り込む

上記はドラの出発シーンから年代特定しましたが、セワシからの推定もできます。第一話でドラと一緒にのび太(小4)と同い年に見えるセワシもやって来る描写があるので、「セワシ小4の時の年は何年か」という観点で絞り込むアプローチです。
上記描写にも「2115年1月に赤ちゃん」という情報は提示されているので、そこを0歳と考えれば小4は2124年度だろうと推測できます。ただ赤ちゃんの年齢は不明です。
別の話にも描写あるか調べたのが下記になります。

2124年度説

1976年2月号小学四年生「百年後のフロク」では、セワシが購読している未来の雑誌「小学四年生2125年2月号」が登場します。ここから2124年度がセワシ小4の年度とみなせるので、2124年度がドラの出発年と見る事ができます。最も数値がはっきりしている描写です。赤ちゃん描写とも一致します。

2125年度説(矛盾あり)

1979年7月号小学四年生「未来の町にただ一人」は、のび太が2125年の夏休みに行く話です。普通に考えるとここで会うセワシも小4と想像されますが、だとするとこの話の小4セワシは2125年度に暮らしている事になります。ただこれは2115年1月に既に生まれている人間がこの年に小4でいられる事はないので矛盾します。(なお、それを受けてかドラえもん公式HPのてんコミ探偵団では「このセワシは小5のはず」との推論をしてます。)

論理的に考えると、2124年度が有力。

とまあ色々単品設定達は辻褄合わなかったり設定変更も含みながら描写されてますが、
初期にあった「2122年に耳失って傷心旅行的に出発」というのが上書き的に消された事を考えと、2122年出発という解釈は無効と判断した方が自然になり、残る大きなキーイベント↓

2112年9月にドラ誕生
2115年1月に赤ちゃん(0歳)セワシの元へ
2122年8月にネズミに耳をかじられる
セワシ小4の時に出発

これらを全て成立させると「2122年に耳を失って青ドラ状態で約2年未来生活を続け、2124年度に出発」という事になるのではと思います。

F先生原作以外の設定達。

上記はF先生原作だけで絞り込みましたが、外伝作品で出発年が出た事もあります。

「2123年出発」とハッキリ書かれた例(方倉設定)

F先生原作ではないですが元アシスタントによる半公式作品の中で出発年という感じの描き方をしているやつです。ドラえもんの職業を聞かれて、子守が職業だという説明の過程で経緯を説明します。

はるばる2123年の未来世界からのび太家にやってきたのだ。

引用元:方倉陽二ドラえもん百科1巻 P126「ドラえもんディスクジョッキー」

タイムマシンに乗ったドラが描かれており、明確に出発年を描いている例です。この話の主題はドラの職業の方なので、出発年にフォーカスしてないさらっとした説明なので、どういう意図を込めてこの年にしたのかはわかりません。初期の2122年12月フラれ設定を下敷きに、少し離れた月日に出発日を設定したとかでしょうか。この場合小3(9歳)出発になるので微妙に矛盾あります。

重要ポジだけど数値が無く謎が深まる「映画2112年ドラえもん誕生」

出発シーンがある作品には「映画2112年ドラえもん誕生」もあります。これはF先生が「設定の決定版」と発言しているので無視できない作品です。ただこの作品は、誕生年以外に日付が出てこないので決め手になる情報は少ないです。それでも参考情報はいくつかあります。

ドラえもんが耳を失う話、その時のセワシはいつもより小さめで、8~9歳くらいとして描いてる感じがあります。(アニメ版セワシは通常小5(11歳))
これは出発の2年前くらいのイベントだという事を意識しているように思えます。

耳失い事件から間もなく、クリスマスパーティが開かれます。その後シーンが切り替わり「そして僕はのび太君の元に行った。のび太君を幸せにする事がセワシ君へのクリスマスプレゼントなんだ」旨のセリフと共にタイムマシンで出発するシーンが描かれ話は終わります。
クリスマスパーティと出発シーンまでの経過時間が不明です。この間で約2年経過したとも解釈できるし、パーティでは何も渡せなかったドラえもんが、クリスマスプレゼント代わりに出発するという意味だとすると直後に出発しているようにも見えます。でもだとするとあのチビセワシは11歳って事?うーん謎です。

(おまけ)日は絞れるのか?

上記は年レベルでの絞り込みでしたが、日を特定できるような情報はあるのか。作中に直接的な描写はありませんが、この可能性はあるのかもという候補日っぽいものを考えてみました。

1月1日という解釈

ドラえもんが初めて到着した「現代の日」はお正月(1月1日)です。第1話「未来のくにからはるばると」「机からとび出したドラえもん」等でお年玉を受けとり正月を満喫しているシーンから始まりますのでこれは確定的です。でも未来の日がいつかはわかりません。ただセワシはのび太のお年玉に対比するように「ことしのお年玉がたった50円。」と言っており、未来でもお正月を過ごしていたセワシがお年玉50円に嫌気が指して過去の正月にやってきたとも解釈できます。

また(作劇都合の側面が強いですが)のび太の現代とセワシの未来をタイムマシンで行き来する場合、同季節で移動する事が多いです。現代が夏休みならセワシの未来も夏休みといった感じです1。ドラ世界では特別な理由がない時は同季節に移動するというのが基本で、そのように考えると出発未来も1月1日だったという解釈の補強材料に使えます。

12月24~25日という解釈

映画「2112年ドラえもん誕生」では22世紀のクリスマスパーティの後に「野比のび太君、君を幸せにする事がセワシ君への僕からのクリスマスプレゼントなんだ」というセリフと共に出発するシーンが登場します。このセリフを言うのはクリスマス(12月24~25日)と考えるのが自然です。この作品はアニメオリジナルで原作漫画には無い話ですが、F先生が「本作が設定の決定版」と宣言している作品でもあるのでそれを尊重するならば、クリスマスに出発したというのも一つの解になりそうです。

補足:「2123年4月5日に出発」というネットの謎情報の信憑性

ネット上では「2123年4月5日にのび太の元へ」という情報がいくつか見られます。元ネタはドラえもん百科ともあります。
ただこちらで「ドラえもん百科」全2巻を見ましたが、確かに2123年という情報は載っているけど、4月5日というのは載っていませんでした。コロコロにのみ掲載された未収録話は全部見れていませんが、秘密紹介系である9月号と10月号は読み、そこにはありませんでした。あとは映画特集ばかりだから載ってないと思うのですが…確証が無いのでこの情報は一旦扱っていません。

脚注

  1. 現代と未来の季節感が一致する例は下記のようなものがあります。
    「のび太が夏休みの宿題をドラに頼むが、ドラはセワシの夏休み宿題に駆り出されている(のぞきお化け)」
    「現代の2月号の雑誌を読むのび太が、セワシの時代の2月号を借りに行く(百年後のフロク)」
    「現代の夏休みで暇になったのび太がセワシの時代の夏休みに行く(未来の町にただ一人)」 ↩︎

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