ルルロフ殿下の正体を作中の様々な描写から絞り込んでみる(チンプイ)

藤子・F・不二雄「チンプイ」のルルロフ殿下は主人公エリに結婚を迫る重要キャラですが作中顔を見せた事が一度もありません。そのため何者かわからないのですが、正体について作中の情報から絞り込みをしてみます。(原作の範囲から)

結論

周辺描写からもしかしたら出木杉みたいな顔立ちのイケメンなのでは、素性としては大きなサプライズはなく普通にマール星王子ではないかと推測します。その他の説も考えます。

素顔、素性

人間顔?動物顔?

マール星には人間型と動物型の生物が混在しています。体は見えてますので人間型ですが、顔だけ動物とかの可能性はないでしょうか。
親族の顔は判明しているのでそこから読み解いてみます。ルルロフの親戚(母の姉の孫)ムニルの顔は地球人と変わりません。1先祖レピトルボルグ1世2もレピトルボルグ3世も人間顔3です。
ムニルの妻キキも別の星出身ですが人間顔。ルルロフお后候補だったダルーサ4(たぶんマール星人)も人間顔です。
一族全員人間顔なのでルルロフも人間の顔と考えられそうです。

イケメンなのか?

顔を見た人の発言があります。
15話「おそれながら健康診断」で、顔を見せられないのはブス男だからかとエリが疑った時にワンダユウは「殿下はハンサムでいらっしゃる!宇宙でも一番か二番」、チンプイは「まあ水準には達してるよ」と言います。
ワンダユウはルルロフを悪くは言わないだろうしマール星の美的感覚で話すので鵜呑みにできないですが、チンプイは地球の価値観も踏まえた中立的な判断するタイプなのである程度信頼できそうです。という事でそれなりにはイケメンだと思われます。

息子の顔は出たことある。

35話「あの子はだあれ?」に将来のエリとルルロフの息子とされる少年が登場します。エリは「だれかに似ているような…」と言いエリに面影があるそうですが、絵的には出木杉を外国人にしたような顔つきをしています↓。

引用元:藤子・F・不二雄完全版チンプイ3巻 35話「あの子はだあれ?」

カッコいいです。この顔が生まれるならルルロフもかっこいいと思われますし、こういう出木杉系の顔つきなのかもしれません。エリと同い年くらいに見えますので、現在のルルロフの姿形を推測する最有力情報と言えそうです。

なお、先祖レピトルボルグ1世と3世は(大人の年齢ですが)ゴツい系の顔をしています。

引用元:藤子・F・不二雄完全版チンプイ2巻 19話「歌っておどって影をふめ!」
引用元:藤子・F・不二雄完全版チンプイ4巻 50話「苦しい断食祭」

ただ1世と3世ですでに顔がかなり違うし、1万年も前の先祖なのでもう面影は残ってなさそうなのでそっちは参考にならなそう。

年齢はハッキリしない

作中に年齢は出てきません。普通に考えるとエリ(12歳)と同じくらいと思われます。エリはルルロフの事を「会ったこともない宇宙少年」と呼んでおり同年代を伺わせます。親族のムニル(14歳)は妻キキ(11歳)と結婚していますので多少の年齢差パターンもあるのかも。なので同い年か少し年上くらいでしょうか。
ただ大卒という情報もあります(マール星立トキョー大学)。とはいえマール星人の結婚年齢の早さ(10代前半に結婚)を考えると学校制度が地球と全然違いそうだし、これを元に20歳超えと推測するのは飛躍が大きいですね。

寿命、早熟度

マール星人の寿命は色々謎です。120年の業界歴を持つムジエム(ライオン型)や300歳のヒコザーモン(パンダ型)など長寿な種族もいます。
人間型の寿命は描かれてませんが、マール王妃(ルルロフの母。マール星人かは不明)は11歳で結婚、ルルロフを出産しています。地球人より早熟なようですが、その後の寿命が長いのでしょうか。エリを候補にしたり王室親族も別の星の少女と結婚しているのでマール星人は多様な星出身者の集まりかもしれず生物的な特徴はバラバラかもしれません。
レピトルボルグ1世は一万年前の先祖、3世は九千年前の先祖ですが単純に考えると一代が何百年になります。桁がデカいし神話みたいな説明なので年代説明が荒いのだけかもしれませんが、一応そういう情報もあります。

家族構成

 父:マール王(名前不明)
 母:マール王妃(名前不明)
 妹:セル王女
上記の家族は名前だけ登場し、姿を見せた事はありません。
 母の姉の孫:ムニル
 ムニルの妻:キキ
という親戚もいます。
また1万年続くレピトルボルグ王家の第一王子と説明されます。第二以降(弟)もいるのかもしれません。(ムニルとか遠縁を第二にしているのかもしれませんが)

他に意外な隠し事があったのか

素直にマール星王子で顔を隠しているだけという推測してきましたが、それだと最終回は単にイケメン顔の殿下が現れて後は予想通りの王子様、って事になり読者的には大きなサプライズが無い感じになります。顔を隠す設定でずっと引っ張ってきたので、最終回にもっと驚きを提供してくれたのではと言う期待はあります。マール星王子というのが実は違うみたいのはあったのか。ただマール星王子そのものであると考えられる情報は多いです。

過去の経歴、暮らしぶりの情報も描かれている。

過去の経歴も紹介されており、王子に相応しいハイスペックです。

学力:マール星立トキョー大学で全国一位の成績で卒業。
運動:スーベルーボ王室チームでチャッピーと四番ターバ(野球でピッチャーと4番バッターのようなもの)で年間最優秀選手。

またルルロフ殿下の暮らしぶりを伝える情報も出てきます。
健康診断を受けており、(エリと同内容の検査なら)人間ドック級の全身チェックしている様子が読み取れ、親族ムニルが「(ルルロフが)エリのディスクをながめてはウットリしてる」と言ってたりと、隠れっぱなしというわけではなく普通に生活を見られているようです。

という事でマール星での長い生活を示す情報は多く、(影武者などではなく)実在を感じます。

エリを妃殿下として迎える未来描写も

結婚については別記事↓で詳しくまとめているのですが、未来はエリを妃殿下として迎え、世継ぎが産まれる事を示唆する話が何度も出てきます。このように未来の結婚後は普通にマール星の殿下として過ごしている様が描かれていますので、「実は王子じゃなかった」みたいな事は無さそうです。

以上から「実はマール星王子ではない!」みたいな変則的なサプライズは無さそうに見えます。

昔からよく言われる「実は内木だったのでは」という説

チンプイはエリの三角関係の話でもありますので、ルルロフの求婚も内木への恋心も両立させる方法として「ルルロフは実は内木だった。顔を見せなかったのは内木である事を隠していたから」という説は昔から良く言われます。
ただ作中にそれを示唆する情報は特に無く、また色々と多くの矛盾も考えられます。

・ワンダユウとチンプイはルルロフの顔を見た事があるが、内木と同じ顔ならば驚くはず。
・マール星人は内木に恋の邪魔をしかけるが、ルルロフと同一ならおかしな行動。
・ルルロフはエリ小6から求婚開始するが、内木とエリは小3(3年前)に知り合ってるので、内木が世を忍ぶ姿の存在とするには矛盾がある。

等があり、個人的には違うのではと考えてます。(別記事のチンプイ最終回予想にも書いていますので参照ください)

(作者の意図として)なぜ顔を隠す必要があったのか?

このように作中から絞り込むと普通にマール星王子で顔もいい男だと思われるのですが、だとすると「じゃあなんで顔を隠す設定なんて入れたのか?」となります。隠さないといけないような要素が見当たらず、作劇上の意図がイマイチわかりません。

作中では顔を隠す理由については「王室典範で婚約前に顔を見せる事はできない。何万年も昔からの決まり」と説明されています。
日本でも平安時代とかは天皇などの高貴な身分の人は御簾の後ろに潜んでむやみに顔を見せないという文化はありますし、単にそれくらいの演出だった可能性もあります。

もしくは…顔出し王子を最初から描いた場合、それでエリが求婚を拒むと「全てを分かった上で、それでもイヤ」となってしまい本当に男として興味ないという感じになります。しかし顔が出ない設定ならば「正体不明の人と結婚できるわけない」という恋愛評価とは関係ない理由での拒否と言えますので、向き合えば好きになる可能性が残り三角関係がより面白くなるという意図があったのかもしれません。

まとめ

ルルロフの正体について作中から絞り込める情報を出しました。
皆が考える「実は内木では?」については証拠らしいものは無いという事と、ルルロフにもマール星での少年期の活動記録がある事などを考えると違うのかなと思われます。未来の様子も描かれているので特にここに隠し設定などなく純粋にマール星の王子様であると解釈するのが自然に思えます。
その上で、隠された顔がどのようなものかを想像すると、見た人の証言からそれなりにはイケメン、息子の顔から想像するなら出木杉系の顔立ちという感じかなと想像します。

とはいえ、F先生はその時の面白さ重視で過去話との整合性をそこまで気にせず話を描く事も多々ありますので、思いっきり違う方向の正体にする可能性もあります。作者による答え、見たかったですねえ。

脚注

  1. 24話「パリのエリおばさま」 ↩︎
  2. 19話「歌っておどって影をふめ!」 ↩︎
  3. 50話「苦しい断食祭」 ↩︎
  4. 18話「ライバルかんげいします」 ↩︎

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