ドラえもん 銀河超特急のリメイクの可能性は?後期に珍しい娯楽作だけど感動ゲスト要員が不在なのが弱点。

ドラえもん映画は定期的に旧作をリメイクしています。「のび太と銀河超特急(エクスプレス)」はリメイクされるのでしょうか。結論から言うとリメイクには積極的ではなさそう。という印象です。リメイク向きの要素、向いてない要素それぞれ思う所を挙げていきたいと思います。

リメイク向きな要素

後期に珍しい、エンタメ路線に思いっきり振った作品

F先生原作のドラえもん映画は、後期作品になるほど環境問題などのメッセージ性が強い作品や、複雑な構成の挑戦的な作品など賛否両論ある作品が増えます。そんな中、銀河超特急は力を合わせて悪を倒すという分かりやすい内容で、また星々を巡りバリエーション豊かな舞台にした夢あふれる娯楽大作になっています。F先生も意図的に「賑やかな物語」にしたと語っています。
(一応「過疎地域の町おこし」という社会問題も含んでいますが、舞台設定の1ネタ扱いで基本は娯楽作品です。)
リメイクは特殊な作品より無難な作品が選ばれる傾向があります。今作がベスト!という人は少ないのですが、一方で嫌いな人も少なく、多くの人が「まあまあ面白い」という評価に収まるのはリメイク候補としては有利な要素だと思います。

のび太がかっこいい

今作の魅力として外せないのは「かっこいいのび太」です。特技である射撃の腕前を発揮するシーンが5回もあり、しかも「信号弾で高速船を撃ち落とす」「空中の缶に6発全弾命中」といった超技巧の技を見せたり、ラスボス相手にわざと捕まって一瞬のスキを狙って撃つなど精神面でもかっこいいシーンが多く、のび太の見せ場はたっぷりあると思います。

客観的な評価は「後期作品では高め」

yahoo映画のF原作の映画ドラえもん17作の一般評価では平均よりやや高い4です。特筆すべきは、低評価の並ぶ後期作品の中で好評という点です。思い出補正とは違う実力を持っていると言えそうです。

yahoo映画 映画ドラえもんレビュー評価平均値

動員:310万は平均的。後期の回復時期の数値。

動員数は310万人。17作中11位は平均より低いです。とはいえ前年までの下降傾向が回復に向かっているタイミングで、それなりの実力を感じます。正直、動員数はリメイク判断にはあまり影響しないです。

リメイクに向いてない要素

この作品をリメイクする上でのウィークポイントも挙げていきます。改変が必要そうだったり、優先度を下げていると思う要素です。

ゲストキャラが結構特殊で、感動要員がいない。

ドラえもん映画は、のび太達と交流をするゲストキャラの登場が定番です。たいていは同年代のキャラと一緒に苦難を乗り越えて絆を深めていくのですが、今作のゲストはそのような王道パターンからはかなり離れてます。
一番目立つゲストキャラは新聞記者のボームさん。小太りのあんちゃんという感じで華の無い外見です。友達というより頼れる大人という感じで、距離感があります。
同年代のゲストキャラもいるのですが、アストン、ドン、ジェーン3人組は基本的にはのび太達をバカにしてくる意地悪キャラという感じで、絆を深めるようなシーンはほとんどありません。マスコット的ポジションの車掌さんはオーソドックスですが深い交流はありません。これらキャラはコアなファンには結構愛されてはいるのですが、制作側の視点で考えるとセールスポイントの1つになる友情などの感動的な場面を持ってない作品はリメイク優先度を下げる要因になりそうです。

星々を巡るオムニバス的な作り。映画というより短編集みたい。

今作のメイン舞台はハテノハテ星群という星々の集まりで、それらがテーマパーク化されているという設定のため星ごとに全く異なるビジュアルの世界が展開します。
これはF先生による意図的に賑やかな作品を志向したからなのですが長いです。物語中盤が敵襲の無い平和なパーク堪能パートとして西部劇、忍者、メルヘン、恐竜の世界と描かれ上映時間の約1/3はこれに割かれています。
これら星々のエピソードが一本の映画として有機的に繋がっているというわけでもなく順序を入れ替えても、またメルヘンや恐竜あたりは抜いても成立するような話でまるで短編を何本か見ているような牧歌的な展開が続きます。映画として一本筋が通ってない感じで、この辺は大きく手を入れないといけないかなと思います。

わさドラでの中編リメイクの存在はリメイクの障壁?後押し?

のび太と銀河超特急の原案となった作品はてんコミ20巻に収録の短編「天の川鉄道の夜」です。これは2009年にわさドラで30分の中編テレビスペシャル「天の川鉄の夜」として大幅に改変されて放送しています。原作短編は一発ネタのギャグ作品でしたが、TVスペシャル版はこれに災害救助の要素を加えて、映画から逆輸入したかのようなのび太の射撃要素も入れたりしてワクワクと感動のある出来で映画との中間的な作品になっています。この作品は2022年の大晦日だよドラえもんで再放送するなど一定の人気が伺えます。
このように天の川鉄道の夜は人気のある作品である事は確認できているので、その勢いに乗って銀河超特急もリメイクに!という後押しになれるのか、むしろ中編で良いもの作っちゃったから、類似のリメイクはやる必要性がなくなったと障壁になるのか…どっちに影響するのでしょうか。

まとめ。消去法的にいつか巡ってくるかもしれないが…

総評としては「娯楽が詰め込まれた楽しい一作だけど、短編集みたいなノリで映画らしさに欠ける」といった感じです。旧作の中には「これはリメイク絶望だろう」という作品もある中でまだワンチャンある作品だとは思うのですが…それでもリメイクはけっこう先なのかなと思ってます。


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