ドラえもん映画特有の「オリジナル」という語の面倒さを考える。

近年のドラえもん映画は、旧作リメイクと独自脚本のどちらかをやる形式で、このブログでも予想や考察をやっています。その際に「オリジナル」という言葉を使う事があるのですが、ドラ映画の文脈だと普通よりやっかいな言葉だなと思ったのでそれをまとめます。先に結論ですが「普通は独自脚本作品を指すけど、文脈によって旧作と勘違いされるし、なんなら映画以外の意味にもなるかも」です。

ドラ映画はざっくり3分類できる。

映画ドラを大きく3種類に分けると

1.旧映画。F先生が原作漫画を描き当時映画化されたもの(魔界大冒険や鉄人兵団)
2.リメイク。1の映画を、後年にリメイクした映画(新・魔界大冒険や、新・鉄人兵団)
3.独自脚本。F先生の原作を使わずに作った映画(地球交響楽や、絵世界物語)

があり、これらを呼び分ける時に「オリジナル」という言葉を使う事があるのですが、ドラ映画特有の3区分があるせいでやっかいな混乱を生む場合がある話をしていきます。

普通の流れなら「3:独自脚本」だと思う。(「独自」の意味)

「来年の映画はオリジナルらしいよ」と言えば、普通は「3:独自脚本の映画」と理解されると思います。直近例だと「のび太の絵世界物語」とかの事です。
この場合のオリジナルは辞書の「独自の」の意味で捉えています。この場合ドラ映画の文脈での対義語は、独自ではないという意味の「リメイク」になります。ほぼこの意味で通るので普段は気を使わなくこの言い回しをよくします。

新旧比較で「1:旧映画」を指す事もある。(「起源」の意味)

しかしオリジナルという言葉には「独自の」以外に「起源の、本来の」という意味もあります。一般用法でも「往年の映画がオリジナルキャストで続編決定!」みたいな場合は元々のキャストがそのまま出るという意味になり、独自の新規キャストという意味にはならないです。
この文脈で考えると、オリジナルとは元祖の映画という意味になります。

「新・宇宙開拓史ってどうだった?」→「私はオリジナル版の方が好きだな」

のように言う場合は「1:旧映画」を指します。この場合の対義語は元祖では無いという意味での「リメイク」になります。

原作(大長編)だけがオリジナルという言い方もできちゃう。

先程はドラ映画を3種類に分類しましたが、映画作品とは別に原作漫画(大長編ドラえもん)も存在するので、これを「0:原作漫画」と定義するとこういう言い方もできます。

「旧海底鬼岩城も、新海底鬼岩城も、エルの髪色はオリジナル通りの黒ではない。」

みたいに言えばオリジナルとは「0:原作漫画」になり、対義語としての非オリジナルは旧映画やリメイクを指す事になります。まあこの場合は原作とか大長編って言い方があるからわざわざこういう言い回しする事は少なさそうですが。

アニオリ(映画オリジナル)みたいな言い方するとリメイク側になったり。

リメイク版でもその中に含まれる独自要素みたいな意味合いでオリジナル(独自)という言葉が出る事があるのでやっかいです。

「新・宇宙開拓史はオリジナルキャラのモリーナが登場し、オリジナル展開をする」

と言った場合、これは原作通りのキャラ、展開という意味ではなく、リメイク版独自という意味になります。
作品全体をオリジナルと呼んでいる訳では無いので少し毛色が違いますが、リメイク作の中にもオリジナルという言葉が登場するというパターン紹介です。特に「オリジナルネタが登場」とか言っちゃうと、リメイク版独自のネタなのか、原作ネタを拾ってきた意味なのかちょっと混乱するかもですね。

まとめるとこんな感じ

全部をまとめるとこんな感じかなと思います。

まあ「そんな使い方あんまりせんやろ」みたいなのも入ってますが、一応どれもオリジナルという言葉で説明できてしまうという極端な分類として書いてみました。

公式もオリジナルは独自新作の意味で使ってそう。(新恐竜から読み解き)

ドラえもんの公式側もオリジナルという言葉を使う事はあります。厳密な運用はしていないかもですが、基本的には独自脚本の意味で使っていると思います。
ちょうどその姿勢を理解できるものとして「のび太の新恐竜」の公式HP紹介があります。

完全オリジナルストーリーで贈る、新しい双子の恐竜と、新しいのび太の物語。
(中略)
のび太が双子の恐竜キューとミューに出会って始まる物語は、映画1作目『映画ドラえもん のび太の恐竜』とは異なる、全く新しいオリジナルストーリー

引用元:「映画ドラえもん のび太の新恐竜」イントロダクション

前段に「のび太の恐竜とは異なる、全く新しい」という言葉が添えられてオリジナル=独自だと明確に読み取れますので、公式はその意味で使ったようですね。

それにしてもこの新恐竜という一番悩める作品(リメイクなのか新作なのか微妙な立ち位置)の予告で「完全オリジナルストーリー」の部分だけ見ると「ん?原作大長編の完コピってこと?」って一瞬誤解しそうな言い回しとも言えますね。さらにそもそも新恐竜が本当に完全オリジナル(完全独自)かというと、着想元があるからそれは言い過ぎだよなという部分もあって、色々とツッコミ入れたくなるキャッチコピーではありますね。

なんて言うのがいいのか

1は旧映画、2はリメイク、0は大長編という言葉が定着しているからいいとして、3をオリジナルと呼ばず別の言葉で言うとしたら何がいいのでしょうか。
リメイクの対比として「新作」と言う事もあると思いますが、リメイクだって興行的には新作だからこれもまだ誤解ある言葉に思えます。
「完全新作」「描き下ろし新作」「独自脚本」とかがハマるかなあ…もしくは「オリジナル脚本」くらいまで言えば誤解ないかも。自分も厳密に使い分けているわけでもなく文脈に応じて使っているので、色々書いてみたけど基本はオリジナル=独自脚本で通ると思ってます。

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