ドラえもんが水田わさびにリニューアルしてから、映画はリメイクと新作を繰り返しています。なぜリメイクの道を選ぶのか。関係者の話や推測から理由を挙げていきたいと思います。
関係者のインタビューからわかっている理由
監督などのインタビュー情報などで関係者自身が話していたリメイク理由を説明します。
理由1:初期の段階では原点回帰
リメイク第1作目の「のび太の恐竜2006」では原点回帰を理由に挙げていました。
―― 企画の話からうかがいたいんですけど、そもそもどんなかたちでスタートした企画なんでしょうか。
引用元:「渡辺歩・小西賢一が語る『のび太の恐竜2006』 WEBアニメスタイル
渡辺 劇場『ドラえもん』をリニューアルをする。そして、原点回帰という事で、1本目をリメイクするというところから始まりました。
―― 渡辺さんのところに監督の話がきた時には『のび太の恐竜』のリメイクである事は決まっていたんですね。
渡辺 そうですね。僕のところに話がきた段階で、それはすでに決まっていました。あとは、どういう風にリメイクするか、という事ですよね。
2005年当時はアニメがリニューアルされて声優、スタッフ、音楽、キャラデザほぼ全てが一新されました。
一方で当時の視聴者は大山のぶ代の印象がまだ強く、変化に慣れない人が多くいた頃でした。多くの事が変わって間もないのに、さらにオリジナルストーリーという形で冒険するには早い時期だったのだと思います。連続的に視聴してきた人達が離れないようという意味で原点回帰したと考えれます。上記インタビューでは第1作目だけを指していますが、翌年もリメイク(魔界大冒険)だったので新体制が定着するまではこの考えがあったように思えます。
理由2:製作期間で選ばれる事もある。
意外にも、製作の都合でリメイクが選択される事があります。
――今回『のび太の宇宙小戦争』のリメイクを選んだのは、監督の意向ですか?
山口 はい、スケジュール的にオリジナルは難しいだろうということになって「じゃあ原作は何がいいですか?」と言われて、自分はすぐに『のび太の宇宙小戦争』を希望しました。実は『のび太の海底鬼岩城』も勧められたんですが……(後略)
引用元:『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』監督が明かす「夢の5カ年計画」”. 秋山哲茂. アニメージュプラス
このように監督が完成までの期間と状況を考慮して新作を1から作るのはスケジュール的にできないと判断し、検討期間を減らす目的でリメイクを選ぶという事もあるようです。実際はこの理由だけで選んだ訳ではないでしょうが、そのような要素も影響するようです。
これは考えようによっては今後のリメイクも期待できる理由です。名作からリメイクが進み、残る手札は中堅作品になってきた訳ですが、それらの作品を積極的にリメイクする理由がなくても、新作制作の余裕が無いという理由で選ばれる可能性があるという事ですから。
推測される理由
ここから先は関係者の情報ではなく、推測になります。
推測1:手堅い売れ行き確保のため。
ドラえもん映画は長年の実績がある人気安定コンテンツです。そうなると単発の局地的なヒットより、永続的な人気維持にも力を入れる必要があります。メガヒットは望まなくとも大外れだけは避けたいという営業戦略がはたらき、新作で当たりか外れの博打に賭けるより手堅い人気は確保できそうな名作リメイクを選ぶのは合理的な判断で、少なくとも数年に一度織り交ぜる事で博打の回数を減らそうとしているというのはありえそうな話です。
推測2:親の層へのアプローチ
ドラえもん映画のメインターゲットは子供です。元々の連載誌が「よいこ(3才を対象)」~「小学6年生」だった事も示す通り、小学生以下にボリュームゾーンがあります。劇場に行く時は親に連れて行ってもらう形になるため、見に行くか否かは親の意向が大きく反映されます。
その親が幼少期に見ていたであろう旧作をリメイクする事で、懐かしさから見に行く、または見せても安心という意識が働く効果を狙ってリメイクを選ぶという事もありえそうです。
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