2025映画ドラえもんまつりの投票結果は一般と違うけどバランスいいラインナップで健全さを感じる。

2024年9月にシリーズ45周年記念「映画ドラえもんまつり」が企画されました。これは映画ドラ全作から皆の投票で決まった上位作品を劇場再上映するという企画でした。
11/22に発表された投票結果のラインナップを見て「一般的なランキング結果と結構違うけど、これはこれで良いバランス」と思った記憶を書き留めておきたいと思います。

上映作品とリスト

投票結果による上映6作品と、それらがどの頃の作品なのかをまとめてみました。↓

こうやって見ると、新旧バランスよくランクインしたなという感じで、「F原作の大山ドラ」「オリジナル大山ドラ」「F原作のわさドラ」「オリジナルわさドラ」から選ばれています。一方で初期作はリメイクされる程の名作達にも関わらず全然選ばれていないというのが珍しい特徴です。それぞれ選ばれた作品や選ばれていない作品の理由について感想、推測を述べていきたいと思います。

のび太と雲の王国(F&大山)…テーマ性が強い作品。リメイク困難なので再上映はうれしい。

F先生存命時の原作から選ばれた作品です。この時期は環境問題をテーマにした作品が多いです(アニマル惑星とか)が、その中でも最も深くテーマに踏み込んだ作品だと思います。大人にも刺さるテーマ重視型の代表作だと思うので選ばれたのはいいなと思いました。
またこの作品は評価、興行面も良いのですが様々な要因でリメイクに難しいため、旧作の再上映の形でも再度見れる場が用意されるのはうれしいですね。
(本作のリメイク困難さをまとめた別記事もありますので興味あればぜひ参照ください↓)

のび太の銀河超特急(F&大山)…エンタメ特化作品

これもF先生存命時の作品ですが、雲の王国のような重いテーマではなくエンタメ特化の作品です。なんだかんだ映画ドラのスタンダードは娯楽作ですので、こういうのから選ばれたのは偏りが無くていいなと。個人的にはエンタメ型の最高傑作という印象は無く今回の投票結果の中で一番驚いた選出でしたが、F原作の後期にはエンタメ型が少ないからその世代はこの作品に票が集中しやすくて選ばれた。って感じなのではないかと思います。

のび太のワンニャン時空伝(オリ&大山)…大山のぶ代最後の作品

オリジナルストーリーかつ大山のぶ代時代の作品からも選ばれました。確かにこの条件の中ではこれが一番好きですし一番良くできていると思います。納得のランクインです。
また今回の投票期間中に大山のぶ代さんの訃報があり(9/29日逝去、10/11アナウンス)、大山のぶ代さん最終作の声を聞けるという意味でも意義深い上映になりそうです。

新・のび太と鉄人兵団(F&わさ)…新旧あるのにランクイン。

新・鉄人兵団のランクインはすごいです。リメイクが存在する作品は旧作と票が分散して共倒れになりやすいと思うのですが、この作品はリメイク有り作品で唯一のランクイン作品です。分散してもなおランクインするのはこの作品の強さをうかがい知れます。
またこの作品は当時の興行面だとわさドラ史上で最低動員数なのですが、ちょうど東日本大震災が重なった影響も大きく、適切な興行評価を受けていなかったという印象があります。一方で当時から作品評価はかなり高かったので、このような形で実力が示されたのは本当にうれしいです。

なお私もこれに投票しました。世代的には旧作側なのですが内容は新の方が好きで、全作品で最高傑作だと思っています。

のび太のひみつ道具博物館(オリ&わさ)…定番フォーマットを崩した意欲作。

この作品はオリジナル映画作品の中でも意欲的な作品かと思います。オリジナル作品も大半はF原作の定番フォーマット「異世界に冒険、ゲストと交流し悪を倒す」を踏襲しているものがほとんどですが、この作品は悪らしい悪を立てなかったり推理モノの要素を加えたり、のび太よりドラえもん視点で描く事が多かったりと色々新機軸で、この辺りから映画ドラは新しい風が吹き込んだ感があります。そういう意味でこのエポックメイキングな作品がランクインしているのは意義深いですね。

のび太と空の理想郷(オリ&わさ)…ライトファンに推された裾野広いランクイン

最近の作品です。良い作品ではあるものの熱狂的人気という感じのしない作品ですがランクインしてますね。
今回の投票企画は投票結果をX(twitter)にシェアする事ができたので投票層がある程度観測できたのですが、今作のゲストキャラのソーニャ役を担当した永瀬廉(アイドルグループKing & Princeメンバー)と、主題歌を歌った女性アイドルグループNiziUのファン層からの投票が多い印象でした。作品そのものというより広報的な部分の効果という感じですが、こういうドラえもんガチ勢以外のライトな投票も含んだ裾野の広さをもった企画になっているのは閉鎖的ではない感じがしてこれはこれでいいのではないでしょうか。SNSの拡散効果では一番目立った気がしますし、後で触れる上映枠拡大の事もあり純粋なランキングを決めるとかではなくざっくり上位作を決める企画ならこういうのが入るのも時代の観測としてアリかなと思ってます。

備忘録、推測

ここから先は当時の状況を記録しておこうと思います。

初期名作が全く無いのは色々分散した結果と予測。

今回の投票結果は初期作が全く選ばれていませんでした。他の名作ランキング系企画だと初期の一桁台の作品(恐竜~日本誕生あたり)が多く、リメイクされている事が人気の証明です。しかしそのリメイクの存在が今回のような投票では仇になったと思われます。同じ作品が好きでも元祖版とリメイク版に分散して投票する事で共倒れになっているのではと。初期で唯一未リメイクの海底鬼岩城はそういう分散は無いものの、そもそも初期作は名作揃いなのでその世代の人は横の分散もあったのかなと。個人的にはこのあたりのクラシカル映画ドラからも一作選ばれて欲しかったと思います。やっぱり歴史的な意義でも第一作「のび太の恐竜」欲しかったですね。

投票期間の途中で上映枠が1枠増える。平和な対応。

企画発表時点では上位5作が劇場再上映するという事でしたが、途中で変更され5→6作に増えました。公式発表では「10万票突破で好評につき1枠増やした」とされていますが、ドラファン界隈で噂されている憶測としては「アイドルファンの投票で空の理想郷に票が集まったため、ドラえもんファン枠用の5枠を確保するために1枠足したのでは」と囁かれています。
実際私のSNS観測範囲でも空の理想郷の投票はアイドルファンに支えられている印象がありました。もしその憶測が正しいのだとしたら、もう1枠増やして対応するというのは全員ハッピーな対応と言えそうです。空の理想郷はいい作品だとは思いますがまだ1年前の作品ですから再上映のありがたみが薄いのも確かなので集客の1枠と、懐かしの5枠って感じの棲み分けならそれも良いかなと。

投票数は10万超えは確実、たぶん10万前半くらい?

投票期間は2024/9/27-10/31の34日間。その中で21日目の10/18に10万票突破のアナウンスあり、もし22日目以降も同じ勢いで投票が続いたとしたら最終的に16万票ですが、後半は減ると思われるので10万前半台、といった所でしょうか。ちなみに人気絶頂だった時期の2020年の鬼滅の刃の公式人気投票が13万316票との事ですので、数で言えばそれと同じくらいです。(ただし鬼滅はジャンプ購入時の応募券が必要だったりするのでハードルが高く、下記の複数投票可能な方式と合わせると参加者や熱量が同じくらいというわけではありません)

ネットから1日1投票可能。

今回の投票は同じ人でも24時間ごとに1回答票する事ができて、複数回投票を許可しているルールでした。34日間の投票期間がありましたので最大34票できるという感じです。自分も複数回投票しました。1作に絞れない人は散らして投票する事もできますし、思い入れの強い1作品に集中する事もできます。また応募フォームは作品、年齢、コメントしか枠は無くコメン未記入でも通りましたので気軽に毎日やる人もいたかと。24時間以内に投票フォームを再度開くとロック画面が出るようになっていたので機械的な不正投票などはある程度塞がれていると思います(他人の端末使ったりとか、やろうと思えば34票以上できてしまうと思いますが。)
10万票超えの投票ではありますが、参加人数で言うと1桁少ないくらいの参加者だったのかと想像します。


(引用元:シリーズ45周年記念!映画ドラえもんまつり」公式サイト

まとめ

今回の投票結果は、いわゆる「ドラえもんの名作ランキングトップ6」みたいな感じにはなっていません。しかし特定の層に偏りすぎる事なく様々なファン層、世代からの投票結果って感じになっているのは国民的な投票という感じがしていいなと思いました。
強いていうなら、最も王道であるクラシカルスタンダードな初期作が選ばれなかったのは少し惜しい感じはありますが、たぶんリメイクと票が分散したのだろうという推測もできるし理由が想像できるからまあいいかなと。

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