創世日記のエモドランを考察解説。機械仕掛けの神の彼の目的は?どんな未来から来た?【ドラえもん】

「ドラえもん のび太の創世日記」に出てくる22世紀からやってきたロボット「エモドラン」。ドラえもんそっくりの昆虫型ロボットで、作中でのシーンは非常に少ないのですがF先生に「これがいたから話がまとまった」と言われるほどに重要なキャラです。作中で描かれてない部分を想像するとなかなか膨らみがいのあるキャラでもあります。彼はどのような目的でどんな未来からやってきたのか?

引用元:てんとう虫コミックス「大長編ドラえもん15 のび太の創世日記」

誕生秘話:彼は苦し紛れに生まれた機械仕掛けの神だった。

まずは誕生秘話について。藤子・F・不二雄のインタビューによると「創世日記は執筆初期ではオチまで考えず書き始めており、終盤になっても話をどうすればいいかまとまらなかった。締切を一日伸ばしてもらった結果エモドランを思いつき、それでなんとか話をまとめられた」と言われています。なのでエモドランは綿密に練られて考え出されたキャラではなく、話をまとめるために思いつき的に作られたキャラだと判明しています。
ちなみに作劇用語で「終盤に唐突に登場して絶対的な力で話を無理矢理解決する存在」の事をデウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神)と呼ぶのですが、彼の役割はまさにそれで、実際にロボットなのでまさに機械仕掛けの神ですね。

拡大しないと見にくいですが何気に単行本の表紙にまで出てきます。彼は最後の最後に数コマ出てくるだけの存在なのに堂々とした存在感です。

作中でのエモドランの描写と役割

作中での描写

描写は非常に少なく(セリフも原作で2個、映画で4個)、はっきりしているのは
 ・(昆虫人世界の)22世紀から来たロボット
 ・ビタノ(のび太似の昆虫人。大統領の息子)の元にやってきた
 ・タイムマシンを所有している
 ・おなかにポケットがあるが、作中で道具使わないので何があるか不明
くらいです。あとは作中描写から読み取れる要素として種類はおそらく昆虫型ロボで、ビタノの元にやってきた事から想像すると、エモドラン自体は22世紀の昆虫人が作ったものと思われます(地上の新地球人が作ったものではない)。

作中での役割

タイムマシンをビタノに提供
作中で最も重要なエモドランの役割はこれです。22世紀から芋虫型タイムマシンでやってきたと思われ、それをビタノに使わせた事でこれが生物進化の謎「神のいたずら」を解く重要な役割を果たしました。巡り巡って「神のいたずら」はのび太のやらかしであるという事を突き止め、ビタノがのび太にそれを伝えた事で解決策が示され、昆虫人も新地球人も平和を手に入れる事ができます。
この辺がF先生の言う「エモドランのおかげで話がまとまった」の事なのでしょうね。作中前半から登場していた謎のタイムマシンの説明をどうしようと迷った結果、昆虫世界でも22世紀からロボが来て渡した事にすればいいと閃いた。と。

第3の地球創造の手伝い
終盤、昆虫人と新地球人の地上の覇権を巡る問題を解決するためにドラえもんたちは創世セットのコピーで第3の地球を創造し昆虫人を移住させますが、その時にエモドランが「ぼくも手伝ったよ」と言ってるので何かを手伝ったようです。具体的に何をしたのかは不明で、ひみつ道具を使うレベルの大仕事なのか、単に宇宙をかき混ぜるとかの作業協力なのかはわかりません。
ちなみに映画版では「ぼくも手伝ったよ~」と言うセリフを2回も繰り返してやたらアピールしてくるのですが、ドラえもんは苦い顔をしながら「そ、そうだね…」と返してたので、大した事やってないのではという感じにも見えます。

(映画のみ)移住後の対応?
映画版のみで原作にはないシーンですが、事態解決後、のび太達が帰る時にエモドランが「あとはぼくに任せて」と言います。確かに第3の地球ができても全昆虫人の移住と文明再建は昆虫人だけでは大変でしょう。その辺の対応を引き受けたという事なのでしょうか。エモドランにもポケットは付いているのでひみつ道具を持っているなら色々できそうです。だとすると「ぼくも手伝ったよ〜」の頭弱そうなエモドランからは一転、急に頼れる存在になっておりギャップがすごいです。(それともこれも適当に言ってるだけ?)

エモドランはどの未来からやってきた?

この辺からは推察多めの記事です。エモドランが22世紀から来た事はビタノのセリフからハッキリしています。しかしどんな未来から来たのかは描かれていません。昆虫人の辿る未来は3つ考えられます。

地上征服後の未来
昆虫人が地上の人類を征服した未来です。作中内容を素直に解釈すると、のび太の干渉が無ければ訪れていた未来がこれです。そういう意味でここから来た可能性は高いのですが、こんな衝撃的な未来から本当に来たのかな…という疑問は残ります。

地底生活継続の未来
昆虫人が地底生活を維持したまま22世紀になるパターンです。作中描写だと近代で地上征服に踏み切るので地底生活のまま22世紀まで暮らす解釈要素は無く、この可能性は一番低いと思われます。ただエモドランとビタノの緊張感の無さを見るに衝撃的な世界の変化を知った人には見えないので、最も衝撃の少ない地底生活継続の未来から来たという可能性として挙げました。これを採用する合理的な理由はないです。

第3の地球移住後の未来
のび太の干渉によって最終的に定まった未来はこれです。そういう意味では正史です。
この説だとつじつまが合う要素としては、第3の地球移住が決定してもエモドランは消滅せずに存在し続けた事が根拠の一つとなります。エモドランが他の未来から来たのなら、こんな大きな歴史改変があれば未来は大きく変わりエモドランが作られなくなる(=消滅する)のではと思えます。消滅しないという事は、同じような未来から来たと考えるのが自然ではないか。という考えです。
ただドラえもん世界は途中が違ってもセワシ君が生まれる理論のような考えもあるので、元々の生まれが第3地球でなくてもなんだかんだでエモドランは作られるという可能性はあるので決定的ではありません。


またこの第三地球出身だと想定すると逆におかしくなる部分もあり、神のいたずらの真相を22世紀の昆虫人もエモドランも知っている事になるので、のび太への接触は故郷である第3の地球を生み出すか否かに関わる最重要要素となります。ビタノの卒論でのんびり調べさせて成り行きで到達するといったユルい方法をしている場合ではないのではないのでは…という疑問が発生します。いやでもエモドランは真実を知っててビタノを泳がせたと考えればおかしくは無いのか…?

エモドランの目的は?大統領の息子の元に行くなりの大きな理由があるのかも

エモドランはなぜビタノの元にやってきたのでしょうか。

エモドランもドラえもんと同じくなんらかの過去改変のために送られてきた可能性は高いです。ドラえもんの目的はドジなのび太を一人前にする事ですが、エモドランは大統領の息子(ビタノ)の元に来ています。ビタノはそこそこしっかりした人に見えるのでダメ人間の更生といった目的には見えません。大統領の息子への接近が必要なレベルの歴史改変、となると作中の重要要素「地底世界からの脱却=第3の地球への移住」を引き起こす事が目的だったのかも!?実はエモドランは重要な任務を担ったエリートロボット…だったのか!?

やってきた22世紀の辻褄合わせなども総合して妄想すると、

エモドランは第3の地球の22世紀で平和に暮らしていたが、それは自然にやってくる未来ではなく、何もしないと近代の第2地球で昆虫人と新地球人と戦争になるという未来になってしまう。
そうならないよう過去の第2地球に行き、近代で神に接触し第3地球の創造を促さないといけない。

そのためには戦争中止と移住決定の権限を持つ大統領に接近する必要があり、また当事者達に自然に気づかせるためにドジキャラを演じながら大統領の息子ビタノを導いて「神のいたずら」の謎を解かせ、神への接触を実現させるという任務を遂行している。

なんて風にも見えるかも。

 




終わりに

という事でエモドランについて考察してみました。F先生が言っているようにギリギリで思いついたキャラなので深い設定はなく矛盾点などもあって当然のキャラなのでしょうが、勝手な深読みをすると面白くなるキャラです。作中のバカキャラっぽい描写と裏腹に、未来からやってきた理由を考えるとすごい任務を担ってそうなキャラに見えてきて評価が(勝手な妄想で)上がります。

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