【レビュー】OSMO ACTION3は写真メイン用途ならお勧めできない。超広角は使えず。初代の愛用者が残念に思う事と期待。

DJI OSMO ACTION 3の主な利用目的が動画ではなく、自撮り等の写真(静止画)として考えている人は購入後にガッカリしないよう下記の機能不足を知った上で検討した方がいいです。
アクションカムは広い背景と自分を映すセルフィ用途でも便利です。私もそういう利用者の1人で、初代OSMO ACTION1は当時唯一のフロント画面もあり自撮りにとても便利でした。OSMO ACTION3はハードの進化でさらに良くなっただろうと思い購入したのですが、写真機能が以前より弱くなっていたのです。中には「なんでこの設定が無いのか」と疑いたくなるレベルのもありハードの飼い殺し感すらあります。

 




写真(静止画)機能のここが弱い

※2022年9月19日時点の最新ファームウェア01.01.04.40での情報です。
※2023年04月26日に.v01.03.10.30が登場しましたが、下記の課題については解消していません。
※2023年08月02日に新型のOSMO ACTION4が発売されましたが、ソフト面は一緒で下記の問題は解消していません。

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写真の時は155°超広角が選択できない。

これが最大にして致命的な問題です。OSMO ACTION3の特徴に155°超広角があります。これは初代OSMO ACTION(FOV 145°)やライバルGopro hero 11(4:3 FOV148°)を大きく上回る要素なのでこれ目当ての人は多いと思ます。しかし、この155°「超広角」は動画撮影でのみ利用可能で、写真撮影ではなぜか使えません。「広角」「標準」しか選べません。「広角」の数値は公表されていませんが、レビューサイト見たり手持ちの初代OSMO ACTION1と比較するとおそらく148°あたりの画角になっていると思われます。これではOSMO ACTION 1の145°からの買い替えには弱いですし、Goproの148°とほぼ同じなので、画角面でわざわざOSMO ACTION 3を選ぶ意味はなくなります。写真撮影なんて動画より負荷の低い処理だし、超広角の方が補正が要らないのにわざわざ機能を外しているのが全く意味がわかりません。

なぜか広角と標準しかない写真モード

なんとか今の機能範囲で155°写真を撮りたいならば、動画撮影で
「4K + 4:3 + 超広角 + 手ブレオフ」
の設定で155°最大画角での動画撮影をして、後でアプリ等を使い動画から静止画を切り出せば超広角での写真を得る事はできます。
しかし
 ・写真で撮るより動画切り出しの方が画質が劣る
 ・別アプリが必要で切り出しに一手間かかる(純正アプリDJI MIMOは4K 4:3動画をオリジナル画質で転送できないので作業はPCを使う事になる)
 ・写真より容量やバッテリーを消費する
といったデメリットがあるので現実的な運用ではないです。

初代OSMO ACTION 1やGoProにはあるバースト撮影、インターバル撮影が無い

これもかなり痛いです。OSMO ACTION 3は写真撮影がシングルショット(ボタン1回で1枚の撮影)以外の撮影モードがありません。OSMO ACTION 1やGoProではこれ以外にバースト撮影(ボタン1回で複数枚を連写)や、インターバル撮影(一定秒ごとに写真を連続で撮り続ける。OSMO ACTION1ではタイマー撮影という名称)があったのですが、これら機能がごっそり抜けています。
自撮り写真を撮る場合、たいていは目つぶり対応やタイミング合わせのために複数の写真を撮って後からベストショットを残す事が多いと思います。しかしOSMO ACTION 3にはそれができる機能が無いので一発勝負になってしまいます。ボタン連打しても即応性が低いので2秒に1枚くらいの撮影しかできません。また自撮り棒の場合はどうにもなりません。GoProにも初代OSMO ACTION にもあるのに3に無いのは商品上の致命的な弱点です。

バースト撮影相当の機能は全くありませんが、インターバル撮影に近い機能は一応「タイムラプス」という機能があります。しかしこれは間欠撮影したものを動画ファイルとして出力する機能です。写真保存を目的としていません。
設定で「動画+jpg」というものがあり、動画と写真の両方を残せるのでインターバル撮影に近い事はできるのですが、それでも代用には成りえず、

・画角は16:9に固定されていて、4:3センサーをフルに使った広い写真は残せない。
・こちらも155°超広角は使えず、「広角」「標準」しか設定できない。
・本体でのプレビューやスマホアプリで確認できるのは動画だけ。jpgはPCを使い直接SDカードにアクセスするしかない。

という感じで、OSMO ACTION 3の画角性能を活かしたものにはなっていませんし不便な使い勝手です。これならOSMO ACTION1で撮影した方が広い絵が撮れます。

ボタンが硬くなった

これは許容範囲ですが初代OSMO ACTIONに比べて撮影ボタン、クイックスイッチ等のボタンが硬く(押すのに力が必要)なりました。理由は不明ですが防水性能向上の影響かもしれません。写真メインで使う人だとシャッターを押す頻度は動画用途より多いと思うので、この硬いボタンは残念側の要素です。特に連写系機能の無い現状では自分の力で何度も押す必要があるのでなおさらです。

ハードスペックと動画性能は本当に素晴らしいのだけど

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OSMO ACTION 3は商品紹介を見るとわかるのですがハード性能はすばらしい内容で、動画撮影を主目的とする場合は宣伝通りの性能といってよくオススメできる商品です。しかし写真撮影はハードを活かせていない制限や機能不足がかなり多く、先代OSMO ACTION1やGoproにある基本機能が未実装で私はメイン利用を避けるレベルです。

ファームアップ期待してるけど、実装されるかは半々

写真に超広角の機能を実装するのは難しい事には思えません。連写機能も先代には搭載されていたのですからファームウェアアップデートで対応できるレベルなので期待したいところです。しかし過去のDJIの対応を考えると期待と絶望が半々です。神対応と塩対応、どちらになるでしょうか。

(期待)初代の頃はファームアップは神対応だった&GoProへの対抗心

2019年に発売した初代OSMO ACTIONは、発売後のファームアップが積極的でまさに神対応でした。例えば数ヶ月後に後発で発売したGopro hero 8がタイムワープ機能を実装していたのですが、それに追従するようにほぼ同機能のハイパーラプスを後から実装するなどライバル意識した対応が見られました。また動画撮影途中でフロントディスプレイ切り替えても動画撮影が途切れない等、技術的に面倒そうな事も後から乗り越えてきましたし、シャッター音のOFF設定が無くなって不満続出の時はすぐに戻すなどユーザの声にも柔軟に対応していました。この頃のような積極的なファームアップが今後されるなら、現状で劣っている部分の向上は期待できる所です。

特に2022年は、OSMO ACTION 3とGoPro hero 11が同日に発表されるというバイバル意識バチバチの発表でした。これはすなわちGoProと比較される事を覚悟しているという事ですので、負けている部分は解決したいはずです。すでにDJIは、Goproに負けている10bit録画について後から2022年12月に対応しました。
画角勝負で言うとGoPro hero 11はレンズの変更はなく以前と同じ4:3画角において148°だったものの、センサーサイズを8:7にする事で156°のFOVを実現するという方法で画角を伸ばしてきました。単純比較できないですが4:3 155℃と8:7 156℃という画角勝負になっており動画では引き分けくらいの性能ですが、静止画対決では上記の制限があるせいで負けている状態です。これに追いつくためには静止画の155°超広角対応が必要で、対抗ファームアップしてくれるかもしれないというのが期待点となります。
また、現在のOSMO ACTION 3のUIは間に合わせ感がすごく、別コンセプトだったDJI ACTION 2のほぼ流用です。1年未満で新製品を投入、しかも2からハード外観をガラッと変えた事もあって非常に短い開発期間だったと思われます。とりあえず間に合わせるために後から変えられないハードの作り込みに注力、ソフトは2と同じ仕様で投入し、後から直そうとしているという見方もできます。2の時は対抗商品のあまりない独自路線だったのでgoproとの機能比較はされにくかったですが、今回の3はgoproと完全競合なので気合入れて機能向上するという可能性はあります。

(絶望)この仕様はOSMO ACTION 2から1年変わらない。写真機能の冷遇も各種で見られる。

一方で、ファームアップされないのではというネガティブな予想もあります。静止画で155°超広角が使えないという仕様は、実はDJI ACTION 2(2021年10月発売)と同じで、ずっと更新されていません。連射やインターバル撮影ができないのも同じです。2にとっても超広角静止画はあった方がいいし対応も簡単なはずです。1年以上前からこの問題があるにも関わらず対応されていません。これはDJIが対応する気が無いのか、もしくはユーザから特に不満要望が無いのか…こうなると今回も期待できないのではと思えます。

またDJI ACTION 2以降は写真機能について切り捨てているのではと思われる冷遇仕様が各所で見られます。顕著なのはスナップショットという電源オフ状態でスイッチを押すと最短で特定の撮影が開始されるという機能なのですが、OSMO ACTION 1時代には動画も写真も選択できた(12モード全て選べた)のに、DJI ACTION 2、3では動画とハイパーラプスの2モードしか選べません。こんなの選択肢増やすだけで大した開発負荷も無い設定だし1の頃はあったのに、ここから写真撮影の選択肢をわざわざ削っているあたり、動画特化で静止画は本当におまけ扱いで考えているのではというDJIの方針が見え隠れします。このシリーズに写真を主目的に使う事を期待するのはもう無理なのかもしれない…という絶望も感じます。

初代OSMO ACTION1。12モード全てから選択する事ができた。
OSMO ACTION3。1ボタンで起動後動作できる機能に写真撮影が無い。写真撮影を徹底的に冷遇しているのは意図的なのか?


ファームアップで実装して欲しい機能
 ・写真撮影(静止画)で、155°超広角モードが選択できるようになる事
 ・間欠撮影(OSMO ACTION1でいうタイマー撮影)ができるようになる事


現状の対応感を考えると、この辺の機能が必須の人は機能追加を当てこんで見切り購入するのはリスキーで、「実装するまで購入待ち、もしくはGoProなど別商品を検討」だと思います。お願いしますよDJIさん!

 



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