ドラえもんの世界には様々な宇宙人が登場しますが、初めて人類と宇宙人が出会ったいわゆるファーストコンタクトはいつだったのか気になり調べました。調べ始めると様々な観点があって一つに定まらず「条件付きならもっと古い例あるけれど」みたいな感じで21世紀後半から10万年前まで広い解釈差が出てしまったのでそれらをまとめました。
まずは結論の一覧。
条件別でファーストコンタクトと言えそうな事例を一覧にしました。多いですね。詳細は後述します。

表舞台の正史では2093年。
「未来図書券」話中に登場する未来の本によると2093年に有人恒星探査船ビーグル二世号が地球を飛び立ち太陽系を離れた地球型惑星で初めて宇宙人と出会うとされています。ドラえもんも「地球人がはじめて宇宙人と出会う歴史的瞬間」と説明しているので、表舞台の正史では2093年がファーストコンタクトという扱いのようです。1
向こうからやって来たのでは無く、こちらから行ったんですね。なお初めて出会ったのは目が1つの歩く蜘蛛みたいな宇宙生物です。
真のファーストコンタクトはいつなのか
しかし実際の所、のび太達は様々な宇宙人に会っていますので2093年以前にも宇宙人との出会いは存在します。それらについても考えてみますが、条件を分けて考える必要があります。
純粋なファーストコンタクトは?
まずひみつ道具の影響が無いものを考えます。ドラの道具(宇宙船など)で出会ったものは22世紀の技術あってこその特例的な出会いなので単純に2093年より前の出来事とは言いにくいからです。
自力で来訪した存在は「さらばキー坊」の植物星人や「のび太と宇宙小戦争」のピリカ星人などです。これらの中で最初の出会いはどれか?掲載年=出会った年と考えます。
完全道具不使用は、1980年 コーヤコーヤ星人(チャミー、ロップル)
出会いや意思疎通に道具を使わない事例だと「のび太の宇宙開拓史」のコーヤコーヤ星人が古いです。彼らのワープ技術で地球に来ているし、会話も道具なしで成立しているので道具不使用で出会いと交流に至ったのは1980年コーヤコーヤ星人が最古という事になりそうです。
最初に出会ったのはウサギ型宇宙生物チャミーで会話も成立しているのでこれが最初の宇宙人と言えますが、人間型の最初の出会いはロップルです。
出会いだけなら最古は、1978年 リリパット星人(アーレ・オッカナ王女)
少し条件を緩めるともっと古いファーストコンタクトがあります。「天上うらの宇宙戦争」のリリパット星人で、これも自力で地球に来ているので道具無しで出会えた例です。ただし会話にほんやくコンニャクを使っているので部分的道具使用があります。地球にやってきた事自体は自力、意思疎通は道具という条件付きならば1978年リリパット星人となります。
最初に出会ったのはR3-D3というロボットで、人間型で最初の出会いはアーレ・オッカナ王女です。
漫画初登場の宇宙人は1970年 のぞきお化けだけど、コンタクトは無い。
道具の影響無くやってきた存在は1970年「のぞきお化け」の名無しのタコ型宇宙人がもっと古いです。自由研究で地球観察の対象としてのび太を覗いていたという話です。宇宙人側が一方的な観察する話なのでのび太達はこれに気づく事なく終わるのでコンタクトとは言い難い事例です。
メタな視点でいうと、これはドラえもん連載史上初めて登場した宇宙人でもあります。
過去の話みたいな例は意外と見つからない。1049年「竜宮城の八日間」が惜しい。
「過去の話として当時の地球人と宇宙人との出会いを見た、聞いた」みたいなパターンがないか調べたのですが、意外と見つかりません。
惜しいのは「竜宮城の八日間」です。浦島太郎は実は宇宙旅行に行って相対性理論によって年が経過したのではという仮説を確かめに1049年に行きます。浦島太郎は超技術で龍宮城のような場所に行くのですが、宇宙旅行ではなく超古代文明(ムー大陸)が海底で独自の時空間で暮らしていて時空現象が起きていたのが真相でした。
なので、話の冒頭では「宇宙人では?」ですが結末は「実は元地球人」なので、これは宇宙人とのファーストコンタクトではありませんでした。
道具使用によるファーストコンタクト
ドラえもんの道具の影響を含めると出会いが格段に増えます。「未知とのそうぐう機」のハルカ星人のように来てもらう、宇宙救命ボートで小人の星に行く、「ハロー宇宙人」のように宇宙人を作る等多岐に渡ります。これらは22世紀の技術あってこその特例的な出会いなので単純に2093年より前の出来事とは言いにくいですが、この条件でさらに古い宇宙人との出会いが無いかを調べます。
現代での出会いの中の最古は1971年(タコ型宇宙人)
のび太が普段の生活の中で道具を使い宇宙人に出会う話はよくあります。「まほうの地図」でひみつ道具の旅行地図を使って宇宙に行ってしまったスネ夫が名無しのタコ型宇宙人に出会うというのがあり、1971年が道具を使った日常の最古の出会いだと思われます。
タイムマシン利用での最古の出会いは3万年前(メカトピアの博士)
タイムマシンを利用する事でさらに古い時代の宇宙人と出会った事もあります。
「のび太と鉄人兵団」でしずかちゃんが3万年前のメカトピアに行きました。アムとイムはロボットなので宇宙人と扱って良いか悩みますが、博士は間違いなく宇宙人ですので3万年前が最も古い宇宙人との出会いとも言えます。ただ地球人側は現代人(この場合は1985年)なので「人類は3万年前に宇宙人と会っていた」みたいな意味合いでは無いです。
F先生の原作以外ではどうか?
上記は原作範囲内のまとめでしたが、オリジナルアニメや映画などを含んだ場合は原作以上に古いファーストコンタクトもあります。
道具を使わない出会いは4万年前 惑星ムシーカ人(ミッカの妹)
「のび太の地球交響楽」では惑星ムシーカ出身の宇宙人、ミッカの妹が4万年前の地球に到着しそこでクロマニョン人の少年と出会っています。なので4万年前が道具不使用の最古になります。ちなみにミッカの妹はそのまま地球で暮らしクロマニョン人と子孫を残し現代にも末裔ミーナがいるという設定ですので、出会いだけでなく同化した感じになっています。
なお「のび太の月面探査記」ではカグヤ星出身のルナが1000年前(平安時代)に地球に降り立ちかぐや姫伝説になった設定があるので、これも地球人と宇宙人の出会いの古い例の一つです。
道具使用では、10万年前のヒョーガヒョーガ星人(カーラ)
ドラえもんの道具で出会った宇宙人だと「のび太の南極カチコチ大冒険」では10万年前の南極にタイムスリップしたら地球に来訪していたヒョーガヒョーガ星人と出会うというのがあります。最初に出会った宇宙人はカーラです。という事で10万年前が道具を使った最古の出会いとなります。(ただしこれも地球人は現代人なので、人類が10万年前に宇宙人と出会っていたのとは違います)
番外編的、変則的なもの
その他、少し変則的な事例も紹介します。

特殊な地球人を含めるなら、20世紀時点で宇宙人との交流あり(雲の王国)
実は地球には20世紀(1992年)の時点で宇宙人の来訪インフラは整っていました。「のび太と雲の王国」で雲の上に住む天上人は様々な宇宙人と交流しており、様々な宇宙人が天上連邦の空港に来ていました。少なくとも1992年、状況からしてもっと前(1980年コーヤコーヤ星人よりも古そう)から宇宙人と出会っていそうで、天上人も地球人と見なすならば条件付きファーストコンタクトになり得るパターンです。
最終的に天上人は地球を離れて植物星に移民するので天上世界は誰もいなくなり宇宙人の受け入れも途切れたみたいなので、正史に残らない隠れた歴史です。
2億9999万9000年前に宇宙人になった存在(「イチ」の国の犬)
現代の野良犬、野良猫を助けるために3億年前の地球に作られた「イチ」の国はその千年後に気候大変動を受け別の星に移住する事になりました。なのである意味では自ら地球外生命体になった存在です。ただ元々は地球生物(犬や猫)ですし異星で出会う事もなかったので、宇宙人との出会いとは言えなさそうです。
クロスオーバー作品含めると、約300年前のジュゲム星人(チョーキューメー)
※レサレサさんの興味深いコメントを元にした追記です。ありがとうございます。
ドラえもんは他のF作品と世界観的に一部繋がっているものがあります。「21エモン」の先祖18エモンがのび太を泊める「オンボロ旅館をたて直せ」の回があり、緩やかな繋がりがあります。
その21エモン本編の「久しぶりだね5エモンくん」で、21エモンの世界(連載当時は未来設定だった21世紀)の300年前(江戸時代)に吾右衛門が地球に不時着したジュゲム星人のチョーキューメーを泊めるというエピソードがあり、クロスオーバー作品を含めると自然な出会いの最古と言える例と言えそうです。21エモンは21世紀前半で宇宙人の地球宿泊が当然という世界観なので2093年に宇宙人と出会うドラ世界とはパラレルですが、こういう条件付きならばこれも最古の例と言えそうです。
真のメタ的な宇宙人初登場は…連載前?
※レサレサさんの興味深いコメントを元にした追記です。ありがとうございます。
上記記事ではドラえもんの連載上初めての宇宙人は「のぞきお化け」1970年8月号(連載8回目)だと書いたのですが、もっと早い宇宙人の登場があります。1969年12月号(連載1ヶ月前)です。どういう事かと言うと、ドラえもんの連載開始前の予告ページにのび太と、その号で連載終了したF作品「ウメ星デンカ」の主人公デンカが一緒に載っており、引き継ぎ的な感じになっています。デンカは宇宙人ですので真にメタなドラえもんの宇宙人初登場はこれとも言えます。デンカはコマの端におまけ的に載っている(編集で足された?)だけでのび太と絡んでいるわけではないですが、条件次第ではこんなのもあるという例です。
まとめ
という事で様々な条件別で最古の例は別れますが、原作範囲で大きなものでは
・表向きの歴史では2093年。
・ドラの道具を使わず出会ってた事例は1980年。
・作中登場というメタ的な意味では1970年。
・道具を使っていいなら3万年前。
という感じではないでしょうか。
今回は色々見落としているのではないかと少し自信がありません。(特にアニオリや映画など)もしさらに古い例や解釈などがあれば加筆修正しますのでぜひご意見、指摘お願いします。
脚注
- 正確には2093年は地球を飛び立った年とされているので、惑星到着して異星人と出会ったのは数年後かもしれません。 ↩︎


コメント
『ドラえもん』本編でクロスオーバーがある他藤子漫画のエピソードを使ってもいいなら、『21エモン』(「オンボロ旅館をたて直せ」で共演)の「久しぶりだね5エモンくん」(18世紀前半? 21世紀から見て「300年前」)にジュゲム星人が遭難してつづれ屋に泊まったエピソードがありましたね。
あと、メタな意味で早いのは反則かもしれませんが「本編開始前」の有名な机から何かが出てくるだけの「藤子先生が主人公のデザイン決めずに見切り発車で描いた」というあの予告漫画(小学四年生1969年12月号)
ウメ星からやってきたデンカが「正月号からぼくにかわって登場します。よろしくね!」と横で言っているので・・・
いつも興味深いコメントありがとうございます。
いやーなるほど!と思いました。面白い視点です。
確かに世界観が繋がる他F作品という視点はありますね。パーマンやウメ星デンカも宇宙人との接点がある作品ですが21エモンが古そうですね。21エモン世界はもう宇宙人の宿泊が当然になってるからドラ世界とはパラレルな部分もあるけど、確かにこの視点は面白いです。
メタ視点もなるほど確かに連載前から出会っていたのかと気付かされました。
とても面白いので、ぜひコメント紹介という形でこの2観点を記事内で紹介させて欲しいです。
>ぜひコメント紹介という形でこの2観点を記事内で紹介させて欲しいです。
どうぞお構いなくやってください。
ちなみに全然違う話なんですが「意外と見つかりません」だと「(死者の魂である)幽霊登場」が実は藤子漫画だとA作品含んでも超レアだったりします。
(大まかに「勘違いでした」か「誰かが悪意で幽霊騒ぎしてた」のどっちか)
UMAや宇宙人は疑惑ネタだと「やっぱりいた」が王道で、妖怪・悪魔の類は明確にいるとしている世界観であっても・・・です。
・オバQ→「ゆうれい部落(村)」という回はあるが、本物の幽霊ではなかった。
・怪物くん→妖怪&悪魔は多数いるが幽霊だけ出てこない、一般的にアンデッドとされる妖怪でも復活した死者という扱いはされない。
・ドビンソン漂流記→「ユーレイなんて怖くない!」で幽霊は自然現象で科学的に証明済みとドビンソンに言い切らせておいて悪人の偽装オチw
(例外的に読み切り作品の『なくな!ゆうれい』や『魔太郎がくる!』「貝がらの中の少女」で本物の死者の霊が登場している)
返答ありがとうございます。さっそく記事内に組み込ませていただきました。
なるほど、死者の幽霊は確かにパッと思いつくものが少ないですね。うらめしドロップが、死後に出るべき幽霊を前借り的に出している(本物の幽霊)なのか、ひみつ道具による擬似的な幽霊なのかとか考え出すと面白いですね。(ロボットの幽霊も出るくらいだから疑似幽霊な気がしますが)
オバQ自体がオバケなのに幽霊が出てこないってのも面白いですね。