映画ドラえもんで、タイトルに元ネタがある作品13作。

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映画ドラえもんには、タイトルを有名小説や映画からもじった作品が多数あります。内容にも深く関わるので明らかに元ネタありというのもあれば、うっすらレベルのもあり、一覧にして13作を関連の強い順に並べてみました。後半は「元ネタかもしれない」「偶然かも」くらいのも含みます。

強レベル:映画内容も元ネタを強く組み込んでいるもの

物語展開も元ネタ要素を強く取り込んでいるのでタイトル元ネタに疑いの無い作品群です。

パラレル西遊記=西遊記

元ネタは中国の古典小説「西遊記」ですね。ひみつ道具の影響で西遊記の物語が現実に侵食してきたのでレギュラーメンバーが孫悟空などの西遊記キャラになりきり妖怪を退治するという話で、敵は金角銀角、羅刹女、牛魔王など西遊記キャラがそのまま出てきます。また実はドラえもん達の行動の影響で西遊記という物語ができたのかもしれないというタイムパラドックス展開も含んでいて、西遊記の世界観をドラえもん世界に強く取り込んだ作品です。

ドラビアンナイト=アラビアンナイト

元ネタはイスラムの説話集「アラビアンナイト(千夜一夜物語)」です。
アラビアンナイトの一遍「シンドバッドの冒険」の絵本の中に入り込んでしまったしずかちゃんを救出する話で、フィクションだと思われていたアラビアンナイトは、実は未来人の道具を過去に持ち込んだ事による実話だったという展開で、瓶の魔神、空飛ぶ木馬、開けゴマの扉などが未来技術として登場します。アラビアンナイト自体をドラえもん世界内の史実としてに取り込んだ内容になっており、かなり深く関わる物語です。

ぼく、桃太郎のなんなのさ=桃太郎

元ネタは日本のおとぎ話「桃太郎」です。
桃太郎らしき人物が映っている昔の写真がなぜか見つかったので、タイムマシンで過去に行って真相を探るというものです。実は桃太郎たちはのび太達が道具を使った姿だと判明し、桃太郎はドラえもん世界では史実の伝承だったという形で深く取り入れています。
またタイトルのパロディ元としては「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」という歌の「あの娘の何なのさ」という歌詞からも拝借されています。
これは中編作品なので他の映画作品とは立ち位置が異なりますが、劇場映画作品には違いないので紹介します。

中レベル:冒頭に元ネタが登場するもの

物語全般には関わらないですが、冒頭に元ネタの本などがそのまま出てくるのでタイトル元が明確に分かる作品群です。

宝島=宝島(スティーヴンソン)

元ネタはスティーヴンソンの小説「宝島」です。
冒頭、出木杉が小説「宝島」を紹介し、それを聞いたのび太が宝島をアレンジしたダイジェスト物語を夢想するシーンから始まります。そこにはジョン・シルバーやヒスパニオーラ号といった小説の固有名詞も登場します。
そんな宝島みたいな所を本当に探そうとする所から冒険が始まり、船も元ネタにちなんでノビタオーラ号です。そこから先の物語は独自展開になりますが、作中ゲストキャラは元ネタから拝借したネーミングが多く、海賊キャプテン・シルバー(本名ジョン)は 海賊ジョン・シルバーが元ネタ、フリント船長と同名キャラや、オウムが登場するなど宝島要素は多数出てきます。

空の理想郷(ユートピア)=ユートピア(トマス・モア)

タイトルの元ネタはトマス・モアの小説「ユートピア」です。冒頭に出木杉がその本を紹介し、理想的な世界という内容にのび太が憧れる事で話が始まります。またモアのユートピアは三日月型の島であるという設定ですが、のび太が偶然見かけたパラダピアも三日月型だったため、ユートピアが実在したのだと信じて捜索の旅が始まります。
小説ユートピアの物語存在を前提に話が始まりますが、パラダピア到着後は独自展開になります。

創世日記=創世記

元ネタは旧約聖書の第1書「創世記」です。冒頭にのび太が絵本版の創世記(「せかいのはじまり」)を読んで聖書上の世界の成り立ち(光あれ~アダムとイブまで)を説明するシーンから始まります。そこから先はひみつ道具の創生セットで独自の地球を創生する話にシフトして、その後は独自展開になります。

弱レベル:タイトルとモチーフだけ使っているレベル

タイトルの類似に加えて、作中モチーフやネーミングにも類似があるのでタイトルの元ネタだと見て良いと判断している作品群です、

宇宙小戦争(リトル・スター・ウォーズ)=スター・ウォーズ

元ネタは超有名スペースオペラ映画「スター・ウォーズ」です。「スター・ウォーズ」という名称が偶然一致するとは考えにくいのでタイトル元ネタと言っていいでしょう。F先生はこれ以外にも原案的な短編「天井裏の宇宙戦争」で直接的なパロディもしているのでその辺も根拠になります1。
宇宙小戦争の内容に直接的な類似はありません。F先生は今作はガリバー旅行記の小人要素と、ミニチュア撮影の魅力を組み合わせたと語っています。2
冒頭でジャイスネがミニチュアを使ったSW風の特撮映画を撮影するシーンもあり3、元ネタ要素はストーリー部分ではなく、手法面から来る着想(スター・ウォーズの精巧なミニチュア映像は、まるで小人になって世界に入り込んだようだ)という感じに見えます。

夢幻三剣士=三銃士

元ネは小説「三銃士」です。物語内容としては全く別で、夢幻三剣士はハイファンタジー風ですが三銃士は歴史冒険活劇です。ただしキャラのネーミングには元ネタが色濃く使われており、ノビタニアンはダルタニアン、スネミスはアラミス、ジャイトスはポルトスorアトスが元ネタですので、三剣士とは三銃士のもじりと考えて良さそうです。

銀河超特急=銀河鉄道の夜

元ネタは宮沢賢治「銀河鉄道の夜」です。蒸気機関車が宇宙空間を走行するというビジュアルコンセプトは、銀河超特急でも蒸気機関車(形の宇宙船)が宇宙空間を走行する形で強くオマージュされています。その後は独自展開をします。
なお、ドラえもん短編に原案と言える「天の川鉄道の夜」があり、これもネーミング的に銀河鉄道の夜オマージュですので、合わせ技で元ネタだと言えそうです。

保留:関係してそうだけど決め手に欠ける。判断保留レベル

元ネタになりうる類似タイトル、関連性があるけど、元ネタと確定して良いのか判断つかないやつです。

鉄人兵団=火星兵団

1939年の海野十三のSF小説「火星兵団」があります。F先生は少年時代に海野十三に熱中していたとの言葉も残っており4、半自伝漫画「まんが道」でもF先生は海野十三の大ファン5と描かれています。
火星人による侵略を描いた話で、目的が地球人の奴隷化、先発隊の異星人と少年の謎めいた交流、後半で山中に大兵団が到着する等、少年時代のF先生の中に深くタネとして取り込まれた何かがあったのかもしれません。そんなタネの一つが名前として出てきた可能性は十分考えられそうです。ただこれを名前の着想元にしたという情報を見つけてないのと、「◯◯兵団」という言葉自体は軍隊とかの定型句なので安易な決めつけもできない。と言う感じで捉えています。

宇宙開拓史=西部開拓史

1962年の西部劇映画「西部開拓史」があります。宇宙開拓史は西部劇要素を取り込んでいるとF先生も公言しています。6ただ「西部開拓史」の物語やシーンを直接取り入れているわけでないようです。F先生が具体作として公言しているのは別の西部劇「シェーン」です。7
西部劇風の物語を宇宙でやるから西部開拓史ならぬ宇宙開拓史という感じでネーミングの元ネタと考えた方が自然に思われますが、確実な証拠は見つけられていないので保留にしました。

欄外:単なる言葉の一致?元ネタとするには決め手が無いレベル

単なる単語の一致、または定型句としての利用かもしれないのであまりこじつけない方がよいのだろうか…と距離感を持ってるけどリストアップはしておくという作品群です。

日本誕生=日本誕生(1959)

1959年東宝の実写映画「日本誕生」があります。古事記や日本書紀の日本神話を元にして日本の成り立ちを描いた作品で、東宝映画1000本目記念作で豪華キャストやスタッフを集結した有名作品です。内容としての共通点はほぼ無く「日本がいかにして誕生したか」というレベルのみ共通します。
日本誕生という言葉自体は単なる単語の組み合わせなので偶然の一致なだけかもしれませんが、とはいえドラえもんに「日本誕生」という硬いタイトルが自然に選ばれるだろうか(普通なら、石器冒険記とかにしそう)という感じもあるので、有名作である東宝「日本誕生」のワードが頭のどこかにあり、ドラえもんで最初の日本人を描こうとした時にふと思い出し合致したという風にも見えます。
「創世日記」も神話タイトルのパロディ、神話の人類起源をドラ的別解釈した作品なのでれと類似のアプローチにも見えます。ただこの辺りは憶測レベルです。

STAND BY ME ドラえもん=STAND BY ME(映画、または主題歌)

アメリカの名作青春映画、またその主題歌「STAND BY ME」があります。有名作なので「STAND BY ME」の語はこれを連想してしまう訳ですが、SBMドラえもんと直接的に結びつくような内容要素は無いので、元ネタと呼ぶには弱いです。
SBMドラえもんの公式HPでは「(ドラとの出会いから別れまで描く事で)今、そばにいてくれる事の尊さを描く」旨が書かれていて、純粋に英語としての意味の「僕のそばにいてくれるドラえもん」と見た方が良さそうです。とはいえ名作映画の事を知らずに偶然被ったとも思えないので、まずは言葉として今作に合うネーミングを選んで、それは米映画と被るけど感動映画感も滲み出るから好都合、という感じに戦略的に選んだのかな?と思えます。(推測レベルです。)

まとめ。弱レベル以下はグラデーションがあって難しい。

今回色々とまとめていくと、弱レベル以下のやつは「薄いオマージュがある」「関連作等を一緒に考えると影響が考えられる」「F先生の興味の証言から輪郭が見える」みたいな所からタイトル元ネタの可能性を強く感じるけど、勝手に「これが事実!」みたいに決められないレベルで、また各作品においてレベルが違うグラデーションがあるので「ここまでは確実、ここからは想像」と線引きもしにくいです。
またそうしてグラデーションの最下端を探っていくと「海底鬼岩城」は「ルブランの奇巌城」「海底二万里」なのではとか、「宇宙漂流記」は「十五少年漂流記」「ロビンソン漂流記」なのかとか、まだ下もありそうでこの辺はいずれ編集していきたいと思います。

また今回はタイトル名称に含まれているかという観点でまとめました。なので「のび太の恐竜は野生のエルザから着想を得た」「太陽王伝説は王子と乞食がベース」みたいな意味での元ネタは今回は触れていません(なので「南海大冒険」は冒頭に小説「宝島」が出てくるけど、タイトルには反映されていないのでノーカウント)。またそれは別途したいですね。

脚注

  1. 「天井裏の宇宙戦争」ではスター・ウォーズをより直接的にパロったアーレ王女、R3D3、アカンベーダー等が登場します。宇宙小戦争とどちらも「スター・ウォーズ+小人の世界」という共通点を持っているので強い関連作と言えます。 ↩︎
  2. てんとう虫コミックス・アニメ版「映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(下)」あとがきにかえて より ↩︎
  3. ジャイスネ達の個人制作映画の名前が「宇宙大戦争」なのも、スター・ウォーズ的なものを撮ろうとしていた証拠の一つと言えそうです。ちょっとXウィングっぽいし。 ↩︎
  4. 「愛蔵版 藤子不二雄 SF全短篇 第1巻 カンビュセスの籤くじ」まえがきより。 ↩︎
  5. 「まんが道」あすなろ編第7節より。これはA先生が描いていて、F先生は才野という名で登場する少々の虚実が混ざった半自伝なので史実と断定できないのですが、わざわざフィクションで入れる必要のない情報に見えるので、これは事実と見て良いのではと考えています。 ↩︎
  6. てんとう虫コミックス・アニメ版「映画ドラえもん のび太の宇宙開拓史(下)」あとがきにかえて より ↩︎
  7.  「キネマ旬報」1990年3月下旬号より。 ↩︎

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