映画ドラえもんには、タイトルを有名小説や映画の名前からもじった作品が多数あります。内容にも深く関わるものもあればタイトルだけというものもあり、それらを一覧にして10作を関連の強い順に並べてみました。
強レベル:タイトルも内容も元ネタを組み込んでいるもの
タイトルネーミングにも取り込まれているし、物語展開も元ネタの存在を強く取り込んだ作品群です。
パラレル西遊記=西遊記
元ネタは中国の古典小説「西遊記」ですね。映画の中ではひみつ道具の影響で西遊記の物語が現実に侵食してきたので、レギュラーメンバーは孫悟空などの西遊記キャラになりきり妖怪を退治するという話で、敵は金角銀角、羅刹女、牛魔王など西遊記キャラがそのまま出てきます。またSF的展開で実はドラえもん達の行動の影響で西遊記という物語ができたのかもしれないというツイストも効いています。視聴者がある程度西遊記を知っている事を前提にしている作品です。
ドラビアンナイト=アラビアンナイト
元ネタはイスラムの説話集「アラビアンナイト(千夜一夜物語)」です。
アラビアンナイトの一遍「シンドバッドの冒険」の絵本の中に入り込んでしまったしずかちゃんを救出する話で、フィクションだと思われていたアラビアンナイトは、実は未来人の道具を過去に持ち込んだ事による実話だったという展開で、瓶の魔神、空飛ぶ木馬、開けゴマの扉などが未来技術として登場します。アラビアンナイト自体をドラえもんワールド内の史実としてに取り込んだ内容になっており、かなり深く関わる物語です。
中レベル:冒頭に元ネタが登場するもの
物語全般に登場するわけではないですが、冒頭に元ネタがそのまま出てくる作品群です。
宝島=宝島(スティーヴンソン)
元ネタはスティーヴンソンの小説「宝島」です。
冒頭、出木杉が小説「宝島」を説明し、それを聞いたのび太が宝島をアレンジしたダイジェスト的な物語を夢想するシーンから始まります。そこにはジョン・シルバーやヒスパニオーラ号といった小説の固有名詞も登場します。
そんな宝島を本当に探そうとする所から冒険が始まり、船も元ネタにちなんでノビタオーラ号と名付けます。そこから先の物語は独自展開になりますが、作中ゲストキャラは元ネタから拝借したネーミングが多く、海賊キャプテン・シルバー(本名ジョン)は 海賊ジョン・シルバーが元ネタ、フリント船長と同名キャラが出たり、オウムが登場するなど宝島要素は多数出てきます。
空の理想郷(ユートピア)=ユートピア(トマス・モア)
タイトルの元ネタはトマス・モアの小説「ユートピア」です。冒頭に出木杉が実際にその本を説明し、理想的な生活ができるという内容にのび太が憧れる事で話が始まります。またモアのユートピアは三日月型の島であるという設定ですが、のび太が偶然見かけたパラダピアも三日月型だったため、それをユートピアだと信じて捜索の旅が始まります。
小説ユートピアの物語存在を前提に話が始まりますが、パラダピア到着後は関係無くなっていきます。
創世日記=創世記
元ネタは旧約聖書の第1書「創世記」です。冒頭にのび太が絵本の創世記(せかいのはじまり)を読んで聖書上の世界の成り立ち(光あれ!からアダムとイブまで)を説明するシーンから始まります。そこから先はひみつ道具の創生セットで独自の地球を創生する話にシフトして、その後は関係ない展開をします。
弱レベル:タイトルとモチーフだけ使っているレベル
タイトルには明確な元ネタがあるけど、作中の物語内容はモチーフレベルで、直接的な登場はしない作品です。
宇宙小戦争(リトルスターウォーズ)=スター・ウォーズ
元ネタは超有名スペースオペラ映画「スター・ウォーズ」です。F先生はスターウォーズにハマっていた時期があり、これ以外にも「天井裏の宇宙戦争」「スターウォーク」「ヌターウォーズ」等の作品で直接的なパロディもしています。しかし宇宙小戦争の内容に直接的なオマージュはありません。F先生は今作はガリヴァー旅行記の小人の国という要素と、ミニチュア撮影の魅力を組み合わせたと語っています。1
冒頭でジャイスネがミニチュアを使った特撮映画を撮影しようとするというシーンがあり、元ネタ要素はストーリー部分ではなく、手法面(ミニチュア特撮撮影)で登場します。(そのタイトルが「宇宙大戦争」なのもパロディですね。)で登場します。
夢幻三剣士=三銃士
元ネは小説「三銃士」です。物語内容としては全く別で、夢幻三剣士はハイファンタジー風ですが、三銃士は歴史冒険活劇です。ただしネーミングには元ネタが色濃く使われており、ノビタニアンはダルタニアン、スネミスはアラミス、ジャイトスはポルトスorアトスが元ネタです。
銀河超特急=銀河鉄道の夜
元ネタは宮沢賢治「銀河鉄道の夜」です。蒸気機関車が宇宙空間を走行するという基本コンセプトは、銀河超特急でもSL列車(形の宇宙船)が宇宙空間を走行する形で強くオマージュされています。その後の展開は独自展開をします。
なお、ドラえもんには短編「天の川鉄道の夜」というのがあり、これも銀河鉄道の夜をオマージュした作品です。
宇宙開拓史=西部開拓史
タイトル元ネタは1962年の西部劇映画「西部開拓史」です。宇宙開拓史は西部劇からインスピレーションを得ている事をF先生も公言しています。2
西部劇の要素を多数取り込んでいますが、西部開拓史の物語内容やシーンを取り入れているわけでないようです。F先生が公言しているのは別の西部劇「シェーン」だけです。3
西部劇風の物語を宇宙でやるから西部開拓史ならぬ宇宙開拓史という感じでネーミングの元ネタにはなってますが、内容との関連は直接的にはありません。
番外:関係しているのか?判断保留レベル
元ネタになりうる同名タイトルがあるけど、内容的にはリンクしてないので偶然の一致なのか判断つかないやつです。
日本誕生=日本誕生(1959)
1959年東宝の実写映画「日本誕生」があります。古事記や日本書紀にある日本神話を元にして日本の成り立ちを描くという内容で、東宝映画1000本目記念作で豪華キャストやスタッフを集結した有名作品です。内容としての共通点はほぼ無く「日本がいかにして誕生したか」というレベルのみ共通します。
日本誕生という言葉自体は単なる単語の組み合わせなので偶然の一致なだけかもしれませんが、とはいえドラえもんに「日本誕生」という硬いタイトルが自然に選ばれるだろうか(普通なら、石器冒険記とかになりそう)という感じもあるので、有名作である東宝「日本誕生」のワードが頭のどこかにあり、ドラえもんで最初の日本人を描こうとした時にふと思い出し合致したという風にも見えます。
元は神話の人類起源をSF的に再解釈タイトルオマージュ作品は「創世日記」もあるのでそれに似たアプローチにも見えます。ただこの辺りは憶測レベルです。
まとめ
今回はタイトル名称に含まれているかという観点でまとめました。なので「のび太の恐竜は野生のエルザから着想を得た」みたいな意味での元ネタは今回は触れていませんが、またそれは別途したいですね。

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