ドラえもん雲の王国がリメイクできない理由を大小7個紹介。洪水以外にキー坊、環境猶予、過去作と新作まで。

ドラえもんは定期的に旧作をリメイクしていますが、「のび太と雲の王国」はリメイクされていません。人気作ですがリメイクを考えた時この作品は障壁となる要素が特に多いです。困難な要素と理由を挙げたいと思います。端的に言うと「初期は他の上位作優先の状態で、震災発生で描きにくくなり、その間に別理由が溜まって今でもリメイク難しい」みたいな感じです。(2025年最新状況を踏まえて更新しました)

リメイク困難な理由の一覧

大洪水のシーンがあるから(最近は許容傾向にある)

困難レベル:☆☆☆☆ → 最近は緩和傾向か。
話の後半に、大雨で大洪水が発生し街が全て流されてしまう描写があります。2011年の東日本大震災以降は津波を連想させる描写は避ける傾向にあります。この洪水はノア計画という作中の重要要素で、雲の住人だから攻撃方法が大雨という感じで作品設定に密接に繋がるため他の破壊(噴火とか)に簡単に置き換えるわけにもいきません。積極的に行くテーマではないという感じは今でもあります。
震災から10年以上経過したので近年は注意を払いながら描く他作品も出てきましたし、2025年「絵世界物語」では敵を洪水で押し流して湖に沈める描写も出てきたので、描けない程では無くなっています。

短編を必要とする特殊作品。「さらばキー坊」は未リメイクで作るの難しそう。

困難レベル:☆☆☆
短編からのゲストキャラが多数登場する(キー坊、モアとドードー、ドンジャラ村のホイ)特殊な作品で、リメイク前に事前にそれら短編アニメを放送しておく必要があります。「モアよドードーよ永遠に」と「さらばキー坊」はわさドラで未アニメ化です。特に「さらばキー坊」の短編アニメ化には慎重なのかなと思います。なぜなら物語が「植物星人が地球人の森林破壊に怒り全植物を奪おうとするが、キー坊の説得により地球人は100年の猶予を与えられ計画は中止される」という内容だからです。原作も大山版アニメも1984年作品で約40年経過していますが、今これを無邪気に「森林破壊に怒るけど100年の猶予を与える」みたいな展開でやるのはちょっと不誠実では…という印象があります。
キー坊の短編アニメ化ができないと雲の王国をストレートには作れないため、障壁になります。

ただ「緑の巨人伝(2008)」のように1984年の短編で100年の猶予を与えられたキー坊の話を、24年後に再度問題提起してまた猶予もらう「気にせずやり直した」事例はあります。

「緑の巨人伝」で同一テーマ扱い、キー坊登場させているから

困難レベル:☆☆☆
雲の王国の話は短編「さらばキー坊」と似ており「人類の外の存在が環境破壊に怒り人類を滅ぼそうとする。しかし説得し猶予をもらう」という内容です。
そしてストレートに「さらばキー坊」を映画アップデートしたのが「緑の巨人伝」です。雲の王国と近いテーマを描いているのでネタ被り感は強いです。
しかもこっちで独自のキー坊が作られています。短編とは別の個性を付けられ違う人生を歩む別キャラです。雲の王国リメイクでキー坊出すと「緑の巨人伝と短編、どっちのキー坊なの?」という混乱が発生しそうです。乗り切る方法はあるでしょうが、面倒事の一つではあります。

「奇跡の島」でモア、絶滅保護地域ネタを使ってしまった

困難レベル:☆
ゲスト動物のモアは元は短編「モアよドードーよ永遠に」の登場キャラで、ドラえもんの道具で無人島に移住し絶滅回避したという話でした。そのモアがさらに天上人に保護されて絶滅保護州で住むという映画とのリンクがあるですが、この辺りのエピソードの一部は「奇跡の島」でネタ拝借されています。モアは未来の保護施設(ベレーガモンド島に連れて行かれたと設定され、そこにはモア以外にもドードー鳥、グリプトドン、メガテリウムといった雲の王国と同じ絶滅動物が保護されていると描かれています。雲の王国リメイクした場合「前に見たことある」という感じになってしまいます。話のメインでは無いし動物変更とかで新鮮さは出せると思いますが、被り回避が必要になります。

「のび太の宝島」で「ノアの方舟計画」が登場した

これは困難理由というよりリメイクを諦めているのではという状況証拠の意味合いになります。
雲の王国には「ノア計画」が登場しますが、宝島には似た名前の「ノアの方舟計画」が登場します。
どちらも旧約聖書のノアの方舟の話を元にしたものですが、ノア計画は大雨で文明を滅ぼす計画、ノアの方舟計画は宇宙船で別の星へ移住する計画です。両計画は全く別物なのでリメイクの障害になるわけではないのですが、こんなモロかぶりの名称を使うあたり、雲の王国リメイクを製作側は当面考えていなかったのではと思えてしまいます。ノアの方舟計画は別の計画名にする事もできるような話でしたし、雲の王国が近々リメイク候補に上がっていたならばこの名称にNGが出ていたと思います。

「空の理想郷」と舞台がかぶっている(数年だけの問題)

困難レベル:☆(ただし数年だけ)
2023年「空の理想郷」は完全新作でしたが、空に浮かぶ未知の世界が舞台で、楽園かと思ったら実は秘密が…という内容です。雲の王国と舞台が似ています。ドラ映画は宇宙、海、太古といった舞台を繰り返し描いており舞台かぶりは良くある事ですが、マンネリ化を避けるために連続では繰り返さずにある程度の間を空けてからやっています。今後数年は類似舞台はやらないと見た方が良いでしょう。
とはいえ3作くらい別作品を挟んで2027年以降なら問題ないかと思います。

「地球交響楽」で雲の王国パロディ登場。リメイク予定が無いゆえか。

困難レベル:☆
2024年「地球交響楽」では壊れかけたドラえもんを触ろうとすると「エッチ!」と言うシーンがありました。雲の王国のパロディシーンですね。ちょっとした小ネタと言う程度なのでリメイク困難の理由ではないですが、もし翌年に雲の王国をやるとかであればネタ被りになってしまうのでこんな描写は入れないでしょう。近々やらないからこそ入れられるネタに見えて、雲の王国が遠い存在である事を推し量る要素に感じました。

人気作品を示す要素

上記ではリメイクの障壁を挙げていきましたが、人気がある作品である事を示す要素もあります。

2025年映画ドラえもんまつりでランクインしてる

2025年、映画ドラ全作から皆の投票で上位6作品を劇場再上映する「映画ドラえもんまつり」という企画がありました。その投票結果の中に雲の王国が選ばれます。43作の中の上位6位に選ばれた事になり、F先生原作の中ではこれと銀河超特急の2作だけですので今でも人気がある作品である事は間違いないです。(映画ドラえもんまつりは別記事でもまとめています↓)

評価は好き嫌いあるけど好評。

yahoo映画のF原作の映画ドラえもん17作の一般評価では下は3.4(ねじ巻き都市冒険記)、上は4.2(鉄人兵団など)の範囲で雲の王国はトップ4.2で、客観的に見てもリメイク可能な人気はあると見れます。
作品評価については、環境問題を追求したテーマ性や多彩なゲスト客演のオールスター感を評価する声もある一方、戦闘シーン等はほとんど無くクライマックスも議会での審判という地味な展開で説教臭く、いつもの冒険活劇と違う点を物足りないと評する意見もあります。
全員が好き系ではなく、刺さる人が一定数いる系の作品ですが、すでに多くのリメイクを経てますのでこういう非王道系もできる時期に来ていると思います。

興行面では問題無し。

雲の王国の動員数は340万人。F先生原作の映画17作中で6位と成功の部類です。すでにリメイクされている宇宙小戦争は240万人ですので、それを超えている雲の王国を興行的な理由で否定する要素はありません。

終わりに

総括すると、「リメイク化の実力はあるのに、様々なタイミングの不運で機会を失っている作品」という感じです。
 1・リメイク映画開始2006年から初期5年くらいは王道作品が優先され後回し。
 2・2011年に東日本大震災が発生。洪水が描きにくくなりしばらく対象外に。
 3・その間に別作品によるネタ拝借や同類舞台など、何かと被る要素が積み重なっていく。
という感じで、1や2は解消傾向にあるものの、3の要素が年が進むほどに重なっていてなんともやりにくいって印象です。
しかしいつか、この辺りの問題をクリアして奇跡的にリメイクしてくれないかとも願ってます。

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コメント

  1. TK より:

    「雲の王国」は「日本誕生」と同じくらい好きだから
    リメイクされないかなってずっと待ってた!
    この記事を見てなるほど…って思った。。。

    リメイクで見たいよぉ
    というかドラえもんはリメイクで見たくないのあまりない

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