ドラえもん 夢幻三剣士のリメイクの可能性は?掴みの強い舞台設定だけど後半の歪みに大幅改修が必要そう。

※2024/3/3追記:映画「のび太の地球交響楽」最後に2025予告映像が流れました。夢幻三剣士と共通点もありましたが…?どんな内容になるか予想記事はこちら。↓


ドラえもん映画は定期的に旧作をリメイクしています。「のび太と夢幻三剣士」はリメイクされるのでしょうか。結論から言うとリメイクの可能性はあるけど、大改編が必要そうという印象で、有利な要素もあるけど弱点も多い作品で、それぞれ説明していきます。

リメイク向きな要素

剣と魔法の世界は魅力的かつドラ映画では被りのない舞台。

ドラえもん映画は40を超える作品で様々な舞台を冒険してきたわけですが、さすがに舞台被りも結構あり、宇宙、太古、海などは定番です。
マンネリ防止、少なくとも「2年連続で類似舞台」みたいな事は避けるでしょうから、被らない舞台設定というのはそれだけで扱いやすいです。
夢幻三剣士は「夢の世界」「ゲームの世界」「剣と魔法の世界」どの観点で切り出しても他に類似舞台がほとんどなく、今の視聴者に新鮮な世界を提供できるという点で有利です。また単純に「剣と魔法の世界」は人気ジャンルですのでその点も後押しになると思います。

メタバース、VR時代の題材としてうまく料理できる可能性。

メイン道具「気ままに夢見る機」とゲーム「夢幻三剣士」は夢の世界でもう一人の自分をリアルに演じられる上に多人数で参加可能というものです。上映当時はまだスーパーファミコンの時代でそのようなゲームは一般的ではありませんでした。
しかし現在はネットゲーム、アバターといった「別世界でもう一人の自分を演じる」というのは当たり前になってきています。この現代的な状況を踏まえて夢幻三剣士をメタバース的な作品として再構築すれば現代的な面白さがある可能性があり、そこに目を付ける監督が候補に上げるかもしれません。

最近流行りの「なろう系」っぽいのは好影響?悪影響?

今作は「大した才能のない人間がファンタジー世界に飛ばされ、白銀の剣というチート能力を得て大活躍をする」とも言える内容で、これは昨今流行りの「異世界転生モノ、なろう系」と呼ばれるジャンルに似た特徴です。そういう意味ではブームに乗るタイミングと言えるかもしれません。
ただ、なろう系は名作もある一方で人気ジャンルゆえに粗製乱造も多くそれが時に「安直な欲望を満たす作品」と評されるネガティブなイメージもあり、純粋な子供向け作品であるドラえもんをなろう系に寄せるような事はしないだろうなと思われます。むしろ上映時に「なろう系っぽいな」という印象を持たれないよう調整する苦労があるかもしれません。

リメイクにとってのウィークポイント

上で挙げたリメイクに有利な要素は、だいたいは舞台設定などの「外側」の部分でした。しかし具体的な話の内容部分になるとウィークポイントも多く、この辺を大幅に改変しないといけなさそうな要素を挙げていきます。

F先生も歪みを認めておりベタ移植はしにくい。が大変更しやすい。

この作品は読むと色々未解決や矛盾を含んでおり、特に後半が急展開で色々未消化な部分が残った終わり方をします。例を挙げると下記のようなものがあります。

・現実に現れたトリホー似の男はなんだったのか未解決
・ジャイアン、スネ夫が途中で離脱しっぱなし

F先生は後にうまくやれなかった旨の発言をしています。元の構想では夢世界の魔族が現実に攻め込んでくる展開を想定していたそうですが、しかしドラ映画の原則「日常世界には影響を与えない」を守る事を優先したため最後の展開を大きく変更し、結果様々な謎が残ってしまい「ゴール大ハズレの極端な一例」と評しています。

途中の路線変更で歪みが発生した事は間違いなく、実際に視聴者視点でも完成度に難がある所は伝わってきます。なのでベタ移植は難しいでしょう。逆に言えばファンも含めて「あのままがいい」と思っていないので、ならば思い切った改編を許される作品とも言えるので、調理のしがいのある作品とも言えます。

友情を育むゲストキャラが不在で、代わりがしずかちゃん。調理が難しいけど良い素材にもなりうる。

ドラ映画の王道要素に冒険世界でゲストキャラと絆を深めるというのがありますが、今作には独自のゲストキャラらしいものは出てきません。
代わりになるのが「剣士シズカール」で、これはしずかちゃんのアバターなのですが男装しておりのび太は「しずかちゃんと気づいておらず異世界の友人」と認識しており、のび太視点では同性の新キャラと交流しているつもり、しずか視点では勝手に決められた結婚相手候補を見定めているという特殊な構造です。
シズカール目線では、最初は頼りなさそうに見えたのび太が冒険の過程で見せる勇気と優しさを目の当たりにして少しづつ心惹かれ最終的に結婚を承諾するという流れです。
この「好きな子にだけ優しいのではなく、全てに優しい」というのび太をうまく描けばしずかちゃんとの心の交流が深掘りできそうです。旧作では勇気とやさしさは敵との戦いの中でだけ描かれていましたが、もっとシズカールと協力したり助けるシーンなどが増えれば魅力的になるのではと思います。

正直シンプルなゲストキャラの方がやりやすいとは思うので、リメイクにポジティブな要素ではないのですが、難易度の高い素材をうまく調理すればむしろ長所にもなり得るかなと思います。

しずかちゃんキャラ2人いる問題。シルクは別キャラにされそう。

今作は、のび太達が夢世界で剣士としての自分を演じるというアバター的な構成になっています。
しずかちゃんのアバターは剣士シズカール(シズカリア王女の男装した姿)です。プレイアブルキャラ相当ですがそれとは別に案内役の妖精シルクというしずかそっくりキャラも登場します。(声優も同じ)
性格はしずかちゃんとは別物でNPC的な位置づけになっています。
正直シルクがしずか顔である必然性はなく、むしろ夢世界にしずかちゃん2人もいるのは混乱の元(ただでさえシズカールがシズカリアと2役なのに)なのでシルクは別キャラに置き換えられるのではないかと思います。(ゲスト不在作だし、マスコット的にしてグッズ要員にするとかありそう)

客観的な評価は「低め」

yahoo映画のF原作の映画ドラえもん17作の一般評価では3.7でワースト3位です。残念ながら高い評価をしている人は少ない作品と言えます。

yahoo映画 映画ドラえもんレビュー評価平均値

 




動員:270万は低め。

動員数は270万人。17作中11位は平均より少し低いです。ただリメイク済作品を見る限り、動員数はリメイク判断には影響少ないので、あまり気にする数値でもありません。

まとめ。キャッチーさはあるので大幅改変でいい作品になる可能性はある。

総評としては「舞台設定などのガワは良いが、内容は未完成感ある作品」という印象です。舞台のキャッチーさは今の子供も惹きつけられるパワーがあると思いますし、旧作ファンも「あれこそ完成形」とは思っていないので、思いっきり改変する事もやりやすいと思います。当時は途中で路線変更したゆえの歪みがあったわけですが、最初から作り込めば良作にできると思うので、いつかはリメイクして欲しいです。(もっと先にリメイク優先される作品もあるので少なくとも3作以上先か。ブリキの迷宮あたりと競る印象です。)

 



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