「映画ドラえもん のび太と奇跡の島 〜アニマル アドベンチャー〜」は、絶滅動物を保護するベレーガモンド島を舞台にしています。この映画は色々と謎に満ちているというかぶっちゃけ説明不足という感じの作品です。謎について作中描写から考察してみます。
舞台の時代がいきなりわからない。
タイムマシンで超空間を通じてベレーガモンド島に行きますが、時代設定は明確には描かれていません。一体いつなのか。いくつかの可能性を挙げます。
22世紀らへん説(最有力)
普通に考えると22世紀っぽいです。
この島の存在は22世紀でドラミが検索して見つけました。そして担当者に連絡を取ると島からの迎えを通じてタイムマシンで行く事ができます。島の沿岸には未来風の施設が建っておりケリー博士が監視をしています。
この状態からして未来が濃厚で、23世紀以降に設定する理由もないので自然に考えれば22世紀になりそうです。
ただロッコロ族という未開の民族が住んでおり、22世紀には見えない要素もあります。
時代を秘密にした謎時空説
この島へのアクセス方法は特殊で、タイムマシンのいつもの時空間(歪んだ時計が出るアレ)だけでは行けず、さらに謎の時空(オーロラの海のような空間)を経由して到着します。わざわざこの描写を毎回挟むので何かしら意味があるのだと思いますが、これが何かは説明ありません。
おそらく簡単には発見できない島としての演出なのだと思いますが、だとすると22世紀から地理的にアクセスできるわけではなく、謎の時代にある、異次元やパラレルワールドのような場所なのかもしれません。でもそういう説明は無いです。
ただ作中は「この島に6500万年前から生きるゴールデンヘラクレスがいる」みたいに言うしロッコロ族も住むので地球の連続的な歴史の中に存在するようにも見えるので謎です。
少し古い時代(数百年前)で管理している説
ロッコロ族の文明レベルを主軸に考えると、数百年前の舞台の方が自然です。
ケリー博士は明らかに未来人ですが自分の時代で管理しているのでなく、まだ国際交流の少ない時代で未開の島で保護しているTP的出向者みたいな見方です。でもそんな描写は無いです。
秘密の島?開かれた島?
この島は誰でも知れる島なのか、秘密の島なのかどうもハッキリしません。
開かれた島の要素
この島は22世紀のドラミが検索して見つけます。なので公式に案内情報が手に入る感じです。実際ドラミは担当者に普通に連絡を取り、案内人のゴンスケが向こうから迎えに来てくれるというすごく真っ当なアクセス方法です。全く秘密感はありません。
秘密の島の要素
一方で、冒頭でこの島はゴールデンヘラクレスを探す悪徳商人シャーマンがようやく見つけ出した場所という感じで描かれています。
また単なる時空間を通るだけではなくもう1つの超空間を経由してやっと行ける場所で、簡単には行けなさそうな雰囲気もあります。
さらにこの島に住む先住民族ロッコロ族は他の文明と断絶した存在で、みんな知っているとは思えない島という見方もできるので、この点では秘密の島という雰囲気が出ています。
ゴールデンヘラクレスはどういう存在?
6500万年前から生きており永遠の命を持ち、島に生命エネルギーを与えるという普通の生物レベルを超えた超常存在です。6500万年前に隕石が降ってきてその宇宙パワーが島に生命エネルギーを与えたという説明もあります。これが一体何者なのかを考えます。
隕石の影響でカブト虫が変化した説
「6500万年前の隕石の宇宙パワーで島に生命エネルギーを与えた」という設定がありゴールデンヘラクレスもその時期から存在するとの事ですので、シンプルに考えると6500万年前に存在した一匹のカブト虫が隕石の宇宙パワーの影響を受けて変化、ゴールデンヘラクレスになったという解釈です。素直に読むとこうなりそうですが、ただの虫が永遠の超生物に変化するの?という飛躍したフィクションを飲み込む必要があります。
隕石そのものが超生命体説
作中で「6500万年前の隕石の宇宙パワーが島に生命エネルギーを与えた」とも「それから今までゴールデンヘラクレスが島に生命エネルギーを与える」とも説明があります。ならば地球の虫が変化したというより、そもそも隕石が超生命体のようなもので、地球到着の影響で現地の虫の形状に変化したという感じの方がまだ納得感ある気がします。
「ねじ巻き都市」の種まく者が元ネタ?
これはメタ読みですが、ゴールデンヘラクレスに似たキャラが過去に登場します。「のび太のねじ巻き都市冒険記」に登場する「種まく者」は創造主、神に近い存在で、彗星のような姿で星々を巡り生命の種を蒔き、地球にも種を蒔いたとされています。また実態を持たず作中では主に少年、黄金の魔神などの姿で現れるのですが、途中の1形態として黄金に輝く巨大なカブト虫に変身します。
・黄金のカブト虫
・彗星(隕石)のような形で地球に飛来
・生命に関わる
という共通点があり、これをオマージュした可能性もあるかも?公式インタビューとかでそういう話は聞いた事がないので単なる偶然かもしれまんが、似ているので気になります。
もしこれを参考にしている場合、隕石そのものがゴールデンヘラクレスに変化して生命エネルギーを降り注がせているという事になります。ただ種まく者はきっかけを与えたらすぐ去っていくので6500万年も居座るような存在ではないので違いはあります。
謎すぎるロッコロ族
ベレーガモンド島の住人、ロッコロ族も謎が多いです。普通の地球人扱いなのですが原始的なのか、未来交流的なのかがなんとも表しにくい。箇条書き的に書いていきます。
(原始的)生活レベルは原始的、外部とも断絶。
藁葺きや石積みの家に住み、焚き火で夜を過ごしフルーツ中心の食生活という原始的な生活です。またシャーマン達が来るまでは武器を持った事も無く、ひみつ道具にも驚くという感じで、選択的に原始的生活をしているのではなくそもそも外部をほぼ知らない感じに描かれます。
(原始的)祖先から何千年もこの島に住む。
ゴールデンヘラクレスの壁画は何千年も前のロッコロ族の祖先が描いたそうなので、この島にずっと住む土着の民族のようです。絶滅動物のように外から連れられてきたわけではないようです。
(未来的)絶滅動物を受け入れている。けどケリー博士との交流は不明。
ベレーガモンド島は奇跡の生命エネルギーに満ちていますが、そこに住む絶滅動物は土着ではなく未来の科学者達が保護のためにタイムマシンで連れてきた物です。ロッコロ族は土着なのでその目線だとある日急に島に大量の外来種がやってきた感じになります。科学者達から説明がありそうなものですがケリー博士とロッコロ族との交流シーンは無くその辺りは不明です。島の沿岸に研究施設も建造しているのでロッコロ族が全く知らないという事もなさそうですが…。
(未来的)話す言語は19世紀後半の人工言語「エスペラント」
ロッコロ族は適当な架空言語ではなく、実在する人工言語「エスペラント」で話します。通常の視聴者やのび太達にとっては意味不明なやり取りですがエスペラントで翻訳可能です(例えばお礼の言葉「ダンコン(Dankon)」は「ありがとう」です)。島名も「非常に美しい世界」を意味します。
この言語は19世紀後半に作られたものなので、現実に即して考えるとそれ以降に習得した存在になります。(この辺は意味があるというより制作的な小ネタとと割り切った方が良さそうです)
まとめると解釈が噛み合わない。
という事で状況を書くと「島に何千年も前から暮らし22世紀でも外部断絶の未開の民族だけど19世紀の人工言語を話し、急にやってきた絶滅動物と共存している」という状況になります。どう解釈して良いものか頭を抱えます。
まとめ
とまあ色々と考察はしてみたのですが、この作品は島の設定に限らず全体的に興味深いネタを単発的に取り入れている(家族の絆ネタや原作台詞パロディなど)という作風で、辻褄合わせようとしている感じはしないので、割り切った作風と捉えた方が鑑賞態度としては楽しめる感じです。
とは言え少しでも何か読み解けないかと思って書いてみましたが、謎を解くというよりは、「この作品はどう解釈してもどこかに矛盾が生じるな」みたいな感じになってしまいました。

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