【解読】ストロングゼロコピペを読み解いてみた。「作者の気持ちを答えなさい」レベルのプロファイルが求められる。

ストロングゼロ氷結コピペをご存知でしょうか。2ちゃんねる投稿文なのですが、安く酔える酒の代名詞「ストロングゼロ」を飲みすぎた人のヘベレケな感じを十二分に体現している名文(?)として人気がありストロングゼロ文学とも呼ばれます。
しかし大意は分かるものの文法は破綻しており非常に難解です。様々な補正をして読み解いてみました。

これが原文。ついてこれるか?

ストロングゼロの氷結のストロングゼロのウォッカ入ってるんだけど、この氷結のチューハイ毎日ではないけどかなりのペースで飲むと2本
今も例えば月曜日とかだと氷結でストロングゼロ飲んでって感じで飲んでるから人気になるんだと思う
楽でいろんな味だしね

2chより

かなりキマった文章です。作者はまさにストロングゼロを飲みながら書いているらしく、狙って書けないナチュラルな崩れっぷりです。
言いたい事はわかります。要は「強い酒なのに沢山飲めてしまう」という内容なわけですが、文法が破綻しているので論理展開が全くわかりません。これを読み解いていきましょう。文章内には作者の誤記による名称の使い間違い等もありますので、まずはそれを理解整理しないといけません。

まずは読み解く上で必要な 酒と商品名の4ワード説明

文中に出てくる酒ワード4つについて最低限の理解が必要です。特に「ストロングゼロ」と「氷結」の関係性がわかってないと混乱します。コピペ文にとっての意味重視で簡単に説明します。「作中のワードはこう読み替える」という感じで見てください。

ウォッカ … 味のない高濃度アルコール

酒の種類。端的に言うとほぼ水とエタノールでできたアルコール度数約40度の高濃度酒。ウォッカ単体はグビグビ飲むものでは無いですが、高濃度と無味無臭という特徴から他の飲料と混ぜて好みの味、適正濃度の酒が作れます。

チューハイ … ウォッカと炭酸飲料を混ぜた物。

酒の種類。厳密な定義はさておきコピペの意味するチューハイは「ウォッカと炭酸飲料を混ぜたもの」です。

ストロングゼロ … サントリーの商品名。安く酔えるチューハイ。

サントリーが販売するチューハイの商品名。ウォッカと味付き炭酸水で構成。アルコール度数9度という高さの割に炭酸ジュースのような飲みやすい味と、最安レベルの価格が特徴。レモンやぶどう味など多くの種類あり。

氷結(=氷結ストロング) …キリンの商品名。安く酔えるチューハイ。

キリンが販売するチューハイの商品名。たぶんコピペ文が指しているのはシリーズの1つ「氷結ストロング」の事。ウォッカと味付き炭酸水で構成。アルコール度数9度という高さの割に炭酸ジュースのような飲みやすい味と、最安レベルの価格が特徴。レモンやぶどう味など多くの種類あり。

つまりストロングゼロと氷結ストロングはほぼ同じ特徴を持つ会社違いの競合商品です。

解読開始。文章を部分ごとに読み解く

前提知識がついた所で、区切って文章を解釈補正していきましょう。




ストロングゼロの氷結のストロングゼロのウォッカ入ってるんだけど、

出だしからクラクラきます。

「ストロングゼロ氷結ストロングゼロウォッカ入ってる」

という「の」3コンボで、どの単語がどこまでかかっているのかいきなり難解です。
しかもストロングゼロはサントリー、氷結はキリンなので別商品。「ストロングゼロの氷結」「氷結のストロングゼロ」どちらで切ってもそのような商品はありません。
おそらく「氷結のストロングゼロ」というのが「氷結ストロング」を指していると思われます。氷結には確かに通常版とストロング版があるので、区別するために商品名「氷結ストロング」の事を「氷結のストロング」と言おうとして、そして「ゼロ」は予測変換などが手伝って勢い余って書いた感じではないでしょうか。

よってこの文章を補正すると

「ストロングゼロ(サントリー)」も「氷結ストロング(キリン)」もウォッカが入っているんだけど

になります。作者は「の」使い所が3ヶ所全部間違ってます。補正したら「の」が消えちゃいました。
この後もストロングゼロと氷結ストロングはあまり区別する事なく文が進むのですが、作者にとってこの2つの差はどうでもいいと思っていそうな感じです。「酔えればなんだっていい」という極地に達している感があります。

次行きましょう。

ウォッカ入ってるんだけど、
この氷結のチューハイ毎日ではないけどかなりのペースで飲むと2本

確かにストロングゼロ、氷結ストロング共にウォッカが入っています。「だけど」と否定の接続詞が続きますので、ウォッカの何を否定しようとしているのか明らかにしておきましょう。
後ろに続く文を意訳すれば「たくさん飲む」という内容です。よってウォッカは「たくさん飲めない」という意図で登場させたはずです。
確かにウォッカ単体は飲みにくい酒ですのでそのような補足をすればよさそうです。

「ウォッカ(という通常たくさん飲めない酒が)入っているんだけど

ですね。

この氷結のチューハイ
毎日ではないけどかなりのペースで飲むと2本

「氷結のチューハイ」という別商品が出てきたわけではないです。「氷結ストロングはチューハイというジャンルなので」という説明として書かれています。これも「の」の使い方がおかしくて難解にしてるパターンです。「は」なら成立します。
またストロングゼロの存在が急に消えましたが、こっちも同じ特徴を持ちますので単に省略されてしまったのでしょう。補足して書き足しておきます。

この氷結ストロングやストロングゼロは(ウォッカに炭酸飲料を混ぜた)チューハイなので」

といったところでしょうか。

毎日ではないけどかなりのペースで飲むと2本

「毎日ではないけど」と始まるので、この後には日数の頻度(「週に4日」など)が来るかと思いきや、飲酒量の話にスライドします。しかもペースの情報が急に挿し込まれる。
まあなんとなくわかります。「1日2本飲むけど、毎日ではないよ。ハイペースで飲んだ時の話だよ」と言っているのでしょう。毎日2本飲むのはさすがにヤバいと自覚しているのか、少し自己擁護している感じが入ってます。

「毎日ではないけど」というのが「飲まない日もある」なのか「毎日飲むが、2本ではなく1本だけの日もある」なのかは読み解けません。
しかし…作者の状況的には後者の方が似合うと思います。のでそう解釈しましょう。

「1日2本飲む事がかなりの頻度ある。でも1日1本だけの日もある」

今も例えば月曜日とかだと

「例えば」と言いながら、今現在の話を始めています。例えではなく現状報告です。作者はまさに月曜に飲みながらこの文章を書いているわけです。週始めで酒を飲まない率の高そうな曜日であっても飲んでしまうという意図で月曜という言葉を出していると思われます。
1番飲まない曜日でも飲んでしまってる人が、本当に「毎日ではないけど」を守れているのだろうか…と前文の信憑性をいきなり落とす説明になってるのが味わい深い。

今まさに飲んでいる状態を1例として挙げると月曜であるにも関わらず

氷結でストロングゼロ飲んでって感じで飲んでるから人気になるんだと思う

前半の「の」3コンボに続き、今度は「で」3コンボがあり、文章としてはおかしいけどラップのようなグルーヴ感があります。こういう所が迷文として愛される要素なのかもしれません。
「氷結でストロングゼロ飲んで」の意味はどれでしょうか。

1.氷結ストロングストロングゼロを飲んで の誤記
2.氷結ストロングを飲んで、次にストロングゼロを飲んで の意味
3.氷結ストロングでストロングゼロを割った物を飲んで の意味

自然な文章であれば1ですが、「って感じで」が飲む流れを表現しているように見えますので、となると2が一番しっくり来る気がします。これを採用しましょう。この日も2本飲んだと思われます。
ただ文章をそのまま受け取ると3になるんですよね。チャンポン(混ぜて飲む事。一般に悪酔いするとされる)です。この作者ならやりかねないと思える所が恐ろしい所です。

「氷結ストロング飲んで、さらにストロングゼロ飲んでって感じで」

氷結でストロングゼロ飲んでって感じで飲んでるから人気になるんだと思う


ここは文章としては変ではないのですが、作者の思考パターンとしては何気にヤバいです。
人気の理由として「このように月曜から2本飲めてしまうから人気になるんだと思う」と論を進めていますが、作者の飲み方がさも大多数の飲み方であるという風にいきなり一般化してる節があります。作者的には「月曜から2本飲んでる人は多くいる」と思っているのかもしれません。

「そんな感じで飲めてしまうから、そういう人達に支えられて人気なのだと思う。」

楽でいろんな味だしね

「楽」なんだそうです。ずいぶん抽象度の高い言葉で説明してきました。何が楽なのでしょう。

「安い」「飲みやすい」といった解釈もできますが、普通はそれを楽とは言わないと思います。
「いろんな味だしね」が楽に関係する要素だとすると、「通常いろんな味を楽しむためには自分でチューハイを作る等の手間がかかるが、ストロングゼロは最初から味違いのチューハイが多種売っているから、手間をかけずにいろんな味を味わえる(楽である)」という事ではないでしょうか。

手間なく様々な種類の味を楽しめるしね

まとめるとこう

各部に分けて解釈しましたが、それを自然につなげて書くとこんな感じではないでしょうか。

補足解釈した完成の文章

サントリー「ストロングゼロ」もキリン「氷結ストロング」もウォッカが入っている。ウォッカ単体だとたくさんは飲めないけど、ストロングゼロや氷結ストロングはウォッカに炭酸飲料を混ぜたチューハイなので飲みやすく、1日2本飲んでしまう日がかなりの頻度で発生する。(でも1日1本の日もある。)
一般に酒を飲む事の少ない月曜であっても、氷結ストロングを飲んで、さらにストロングゼロを飲んでという感じに2本飲んでしまう。今まさに私がその状態で、このような人が多くいて人気(売れ行き好調)なのだと思う。
手間なく様々な種類の味を楽しめるしね。

 




作者の気持ち(状態)を答えなさい。

さて文面は解読できましたが、文章解析の過程で作者の実像も見えてきた感じがあります。せっかくなのでその辺りもまとめましょう。文面から下記のような事が推測されます。

・サントリー「ストロングゼロ」もキリン「氷結ストロング」も作者にとっては大した違いはなく、飲みやすく酔えれば良いという境地にまで達している。

・基本1日2本飲むが、それは毎日ではないと主張している。しかし仕事始めである月曜からさっそく2本飲んでいるような状態であり、2本飲まない日というのは相当レアなのではないかと思われる。

・人気の秘訣は、「自分のように平日からほぼ毎日2本飲んでいるような人が多いから」と考えており、同様の飲酒習慣の人が世間に多数いるものと考えている。

最初は単なる文章解読だったのですが、いつのまにやらいろいろとプロファイルが見えてきておもしろいです。

終わりに

ストロングゼロも氷結ストロングも適量を守れば楽しく飲める酒です。ほどほどに楽しみましょう。楽でいろんな味だしね。

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